すばらしきタルガの世界(最終回) コルベットC3 vs ブリストル412
公開 : 2017.09.13 20:21 更新 : 2017.09.13 20:22
「大陸の端から端へのドライブに出掛けたい」
膨大なトルクがもたらす加速は、礼儀正しいホットロッドと呼ぶべきもの。
もしもベントレーが(1931年に)ロールス・ロイスに吸収合併されなかったら、70年代のベントレーはこうだったかもしれないと想像したくなる走りだ。
コーナーをハードに攻めるときだけは、ボディの重さを意識させられる。大波を受けたフェリーのようにロールするのだが、グリップレベルは驚くほど高い。
ドアのウインドウを下げていても、風の巻き込みに煩わされることがないのも美点だ。むしろ停車中のほうが風が気になるほどである。
コルベットは対照的だ。風の巻き込みに関して、今回の「すばらしきタルガの世界」企画に参加した10台のなかでこれが最悪。そのため全体の評価でもブービー賞に甘んじる結果になった。
空力学的な理由があるのだろうが、そこは推測の域を出ない。ほとんどロードスター並みの巻き込み方だ。おかげでカーリーは滅多にルーフパネルを取り外さないとのことだが、なんとも残念な話である。
完璧なドライビングポジション、快適にサポートしてくれるシート、そしてシボレーV8の魅力的なサウンドがあるのだから、まさにロングドライブに好適。力強く盛り上がったフロントフェンダーを眺めながら果てしなく走り続ける…。そんな夢を見たくなる。
ステアリングはさほど正確な部類ではないが、コルベットにそれは求めない。一方、ブレーキの素晴らしさは特筆ものだ。
しかし結局のところ、やはりブリストルでも同じ夢を見られるのだ。サウンド、快適さ、途方もなくパワフルだが扱いやすいエンジン。これらを知ると、大陸の端から端へのドライブに出掛けたくなる。
しかもブリストルなら、ルーフパネルを外してロングドライブを楽しめるのである。