お手頃ドライバーズカー選手権(2) VWゴルフR vs フォード・フォーカスRS
公開 : 2017.09.16 16:10
公道でもサーキットでも。万能のゴルフR
以前、ゴルフRはこの2台の比較テストで勝利を収めているが、その理由は、いうなればより完成度が高いからだった。今回のフォーカスRSは、その時ついていた£899(14万円)のチューニング・パーツ群であるマウンチューン・キットが備わらない点が異なる。
最新のゴルフRは、日々の運転を楽しめるだけでなく、残りの人生を穏やかな満足の中で過ごさせてくれるクルマだと再確認するのに、スランドウ周辺のB級道路で10分と運転する必要はない。オプションだが必須といえるアダプティブ・ダンパーを装着すれば、しなやかな乗り心地やこの上なく素直なパワーデリバリー、トレードマークともいえる精確さで、ほとんどのライバル以上に目を引く存在となる。例外があるとすれば、時としていら立つほどに鋭く粒の粗い運動性と、ご機嫌なサウンドの持ち主であるこのフォードくらいだ。
ウェールズの路上を離れ、ピットレーンに入るとしかし、評価の変わりようはこれまでにないほど衝撃的。疑いの余地なく、ゴルフRの公道寄りのセッティングが、サーキットでのハンドリングを台無しにしていないのは、フォルクスワーゲンの凄いところだ。路面の荒れがないサーキットくらいでしか出番のないレースモードを選んだのと同時に、その能力は万能なまでのメカニカルグリップの限界近くにまで引き出される。公道上ではその片鱗しかうかがえなかった4モーションの際立つニュートラルさが、このスランドウ・サーキットでは即座に前面へと顔を出し、フロント主導のスタビリティ志向でありながら、コーナリング中に走行ラインをスロットルオフで調整する機会をいたずらに阻害するものではない。
7段DCTのDSGギアボックスを採用したおかげで、0-100km/h加速は4.6秒をマーク。それは、Rモデルの妙を感じさせる。