ケイマンGT4 vs MRスポーツのランドマーク 前編

公開 : 2017.09.16 19:10  更新 : 2017.09.17 13:26

初期のデジタルと熟成のアナログ

NSXのV6は、この中ではもっとも古く非力なため、肩を並べるのが難しいという言い訳もできる。しかし、それは不要だ。低回転では大人しく無表情な印象だが、全域にわたってスムースで洗練されている。頭の直後で聞こえるエンジンノイズは、4500rpmから心地よくなり、8000rpmまで実際の加速と操作との一体感を保ちながら駆け上がる。

ギアチェンジは最高に楽しい。ペダル類とステアリングホイールの重さの設定も完璧だ。そして、アクセルペダルのストロークの長さと独特の感触は印象的。現代のバイワイヤ方式では、それは持ち合わせていない。ただ皮肉なことに、NSXのスロットルはバイワイヤによるデジタル制御で、システムとしては初期にあたる。この豊かな感触を生み出すには、かなりの労力を費やしたはずだ。

一方、機械的にリンクされたF355のスロットルのフィーリングは、NSXのデジタル制御と変わらず完璧なもの。少し前のクルマがほとんどそうだったように、フェラーリのペダルは潤滑油が必要でもあるが、直接ケーブルで接続されている。

低速域は安楽だ。高速道路でのクルーズでは、ギアチェンジするかペダルを若干踏み込む程度でほとんどが事足りる。現代のクルマではこうはいかない。当時のクルマに比べれば、操作感覚は半分ほどが削がれている。見方にもよるとは思うが。

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