ケイマンGT4 vs MRスポーツのランドマーク 後編
公開 : 2017.09.17 20:10
活気はあるが古典的なF355
F355のような古典的なミッドシップのクルマへ乗り換えると、これだけNSXをべた褒めする理由もわかるはずだ。生き生きとしたキャラクターを持つフェラーリのハンドリングは賞賛に値する。シャーシからの感覚は活気に溢れるが、スピードや路面コンディションが変化する度に、適切なコントロールが求められる。リスペクトするほど懐の深いNSXとは違い、オールドスクールな振る舞いは初心者には手強いものだろう。
F355のパワーステアリングは軽く、NSXのようにギア比が低くクイックだ。しかしNSXと異なり、中速域のコーナーでは外側のタイヤに荷重が移り始めると同時に、スタビリティが弱くなる傾向がある。コーナーを攻めるとロールも大きくなるだけでなく、ステアリングも一層軽くなり、率直にいって想像以上に不安定だ。
スピードを速めると、V8エンジンの重量がリアホイールをゆっくりとアウト側へ引っ張り安定するのだが、オーバーステアも発生させてしまう。挙動は逐一伝わってくるので、F355を限界付近で走らせるのは楽しいことも事実だ。しかし、想像以上に簡単に、憂慮してしまうほど、限界に達してしまう。