日産ジュークNISMO
公開 : 2013.01.23 16:16 更新 : 2021.03.05 18:51
■どんなクルマ?
日産ジュークは、英国の自動産業界にとって大きなサクセス・ストーリーであった。空前の大ヒットとなったジュークの100万台のうち1/3は、英国で最も大きな自動車工場であるサンダーランド工場で生み出されてきたのだから。
しかし、このジュークNISMOは残念なことに英国で製造されない。多くの開発はパディングトン・デザイン・スタジオと、クランフィールドのテクニカル・センターで行われたが、日本のNISMOの手によって製造・開発が行われるのだ。
そのNISMOバッジに恥じることないように、シャシーには大幅に手が入れられ、エンジンは197bhpの1.6ℓターボ・エンジンが搭載される。
NISMOは日産モータースポーツの略称で、50年にわたり日産のレーシング・マシンを生産してきた部門だ。最近は、1997年に登場したグラン・ツーリスモというTVゲームで、その存在が知られるようになったチューナーでもある。日産は、高性能なニッチ・モデルに、このNISMOのバッジを付けることで、可処分所得の多い20代から30代のプレイステーション世代にアピールしようと考えたのだ。
価格は19,995ポンド(280万円)と、ハイパフォーマンス・クロスオーバーとしては妥当なものとなっている。
■どんな感じ?
ベース・モデルに対して、ほんの少し異なったモデルで、ほんの少し良くなっている。もちろん、われわれがトライしたジュークの中ではベストな車だ。しかし、ルノースポーツ・クリオのような劇的な変化を望むのならば、それは失望に繋がってしまう。
しかし、10分の7や10分の8程度のミハエル・シューマッハ・モードでドライブするのであれば、滑らかな乗り心地を持つ、非常に完成されたホット・ハッチである。そして、4人のための充分なスペースとラゲッジ・ルームを持つ。
まずは、エンジンから始めよう。NISMOのエンジニアは、ジュークNISMOを特別の存在にしたいという衝動を抑え、中低速域でのトルクを増やす方向にチューニングを施した。ターボチャージャーが効く前の2000rpmから2500rpmでも、トルクフルなものにした。その結果、6速マニュアル・ギアボックスを介して、気持ち良いほどリニアなパワー・デリバリーが味わえるのだ。
高速道路では、そのハイギアードな6速ギアのお陰で、楽な巡行が可能だ。もちろん、CVTによるオートマティック・ドライブも選択可能だ。
その乗り心地は固いが、決して不快ではない。口うるさい英国のユーザーにも納得してもらえるように充分な時間を掛けたと思われる。また、ボディ・コントロールも素晴らしく、予測可能な限界レベルのロールもコントローラブルだ。
限界を越えると、フロント・ホイールがスリップしだすが、その流れ出しも急激なものではない。速く走らせることも重要だが、ルノースポーツ・クリオのような類のクルマではないということを肝に銘じて欲しい。
ジュークNISMOは、キャビンも充分にスポーティだ。そこには、座り心地の良いスポーツ・シートも装備されている。19,995ポンド(280万円)の価格からは充分な情報エンターテイメント・システムとアルカンタラのステアリング・ホイールも標準となる。
■「買い」か?
最初にも触れたが、ジュークNISMOは、われわれがこれまでにドライブした中で最高のジュークであることは間違いない。確かに、通常のハッチバックを買えば、広いブート・スペースがついてくるが、それを犠牲にしても構わないと思えるだけのものがある。
ルックスの好き嫌いは大きな要因となろう。しかし、充分に速く、滑らかで、限界付近でも扱いやすいこのジュークNISMOは、価値のあるダイナミックなマシンである。
(マーク・ティショー)
日産ジュークNISMO
価格 | 19,995ポンド(280万円) |
最高速度 | 216km/h |
0-100km/h加速 | 7.8秒 |
燃費 | 14.5km/ℓ |
CO2排出量 | 159g/km |
乾燥重量 | 1295kg |
エンジン | 直列4気筒1618ccターボ |
最高出力 | 197bhp |
最大トルク | 25.4kg-m |
ギアボックス | 6速マニュアル |