ヨークシャーからル・マンへ ジネッタの野望、ファクトリー訪問で明らかに
公開 : 2017.09.23 18:40 更新 : 2017.12.14 12:31
TVR買収目前だった過去も
しかし、トムリンソンの起業家精神への評価は、資産価値だけでは測れない。業界におけるその功績を称えられ、受賞した一連の名誉博士号はその一例である。
政治家としての一面もあり、2013年から14年の間、経済省においてスタートアップの成長を助長する為に、規制緩和を促進した。他にも、彼は経済後退局面における銀行の小規模ビジネスに対する取扱いに関する行動規範を制定し、それは今日でも実行されている。
こうした多忙な時間を過ごしながらも、彼は素晴らしいレーシングドライバーとしてのキャリアを中断することはなかった。2005年にジネッタを買収するまでは、主にTVRから出走していたので、TVRの買収も考えたという。
トムリンソンと当時のTVRのオーナーであったピーター・ウィラーは、契約の締結を進めていた。ニコライ・スモレンスキーというロシアのミニ・オリガルヒが、たとえていうなら、スーツケースに詰まった札束を持ってやってくるまでは。
「私とピーターはそのことについて同意していると思っていました」トムリンソンは思い返す。「ヨークシャーで締結される契約は、互いが同じだけ不幸せなら素晴らしいと言われますが」と、トムリンソンは、その後ブラックプールで起った悲劇を示唆した。
「多くの困難を抱えながらも、そこには未来がありました。しかし、すべては壊滅し、ノースウエストに蓄積されたすべてのノウハウは失われてしまったのです。しかし、すべてをニコライの責任にするわけにはいきません。彼は、23歳か24歳で自動車会社を買収する権限を与えられ、外国企業を運営しなければいけなかったのです。その結果がどうなるかは、想像に難くないと思います」