メルセデス-AMG E63 S エステート試乗 ハイパーワゴンの王座奪取か
公開 : 2017.09.21 11:10 更新 : 2017.09.21 11:13
どんな感じ?
ハンドリングはクラス最高水準
後部座席を折りたためばダンスホールの様にフラットな1820ℓの収納スペースを確保可能だ。しかしその代償として、ワゴンとするために拡張されたボディと増えたガラス面によって、100kg程車重が増加している。その贅肉は狭いワインディングを攻めない限り気づかないものだが、S字コーナーでの切り返しなど、フルロール時の挙動に僅かながら遅れが感じられる。セダンではみられない振る舞いだ。
といっても、カーブの連続する道をこれほど高速に走行できる、高い運動性能を持ったワゴンは見たことがない。E63 S エステートが持つ十分過ぎるほどのグリップ力とボディコントロール、ステアリングの精密さとトラクションの高さは、スポーツカーに引けをとらないものだ。さらにバランスの良さと許容量の大きさは、RS6は持ち合わせていない。
唯一の欠点は乗り心地
乗り心地は、標準仕様のエアサスペンションにも関わらず、滑らかさに欠けて落ち着かないもの。常に二次的な振動が感じられ、収まることがないのだ。恐らく車重2トンを超えるボディに高い運動性能を与えたことのトレードオフなのだろう。
さらに、メルセデスが持つべき長距離ドライブの快適性という点では、とても座り心地の硬いシートも加わり疑問が残る。高いサイド・サポートの付いたそれは、まるでAMG GT用をそのまま取付けたかのようなのだ。身体のホールド性は間違いなく高く、剛性も優れたものではあるが、数時間も運転すれば背中が痛くなるに違いない。
ただし、E63 S エステートで感じる不満といえばその程度。ひどく濡れたドイツのアウトバーンにも屈せず、ハイスピードでの走行は非常に安定したものだった。それが、バランスの良さと運動性能の高さをより印象深いものにした。エンジンもレスポンスがよく、非常に力強く積極的に回したくなる味付けで、£1,000のオプションとなるスポーツエキゾーストは、V8エンジンからの快音を聴かせてくれた。