ジャパン・クラシック・ツアー 2017に潜入 脅威の求心力の源を探る
2017.09.16-18
ドラマがべつのドラマを引き寄せる
じつは今回のイベント、スタート地点の滋賀県彦根市、中継地点の石川県金沢市、そしてゴール地点の長野県松本市には、それぞれ彦根城/金沢城/松本城がある。イベントで回る場所のチョイスにもこだわりが溢れている。
そうして、いよいよゴール。振り返ってみると、スタート以外、雨はほとんど降らなかった。あとから聞いた話だが、どこで中止になってもいいように、おみやげのワイン5ケースをはじめ、バッジやおみやげなど、すべてを運びながらラリーを運営していたのだという。
「そういった備えがあるからこそ、運は味方をしてくれるのですね」というわたしの一言に対し、天野さんは「どんな方法であっても、エントラントの皆様をタダで帰らせないのが、われわれの使命です」と力強く答えてくれた。
表彰式が執り行われたのは「あがたの森」。ヒマラヤスギの並木道にも、地域のひとびとが多く集まった。各カテゴリーの入賞者は下のギャラリーで振りかえるとして、本イベントでは、MG TDで参戦した山本正文さんに「特別賞」が送られたことを、ここで記しておこう。
山本さんは、様々な競技で素晴らしい成績をおさめている実力者だが、途中で調子が悪くなったほかのエントラントのクルマの整備を、みずからの競技を棄権して手伝ったというのが受賞の理由だ。
「われわれのイベントの象徴のような行動」だと主催者の天野さんはコメント。われわれも、並木道に駐車する際、ポルシェ911カレラRSがリップを擦らぬよう、ドライバーに声掛けしている山本さんの姿を見逃していない。
細かいことかもしれないけれど、こういった行動がイベントの気風をつくり、じわりと回りに伝染する。これがカラーになり、文化になるのだろう。
最後に天野さんはこう言った。「次回も来てくださいね! 来てくれさえしたら、絶対楽しませるんで! 任せてください!」
どうやらヒストリックカーミーティングは、国境を越えたイベントの企みもあるらしい。1列に並んだスタッフの目にはうっすらと涙が浮かび、同時に次のイベントを力強く見据えていた。
なお、12月9日にはクリスマスをテーマにした1DAYイベントも予定している。