text &photo: Kazuhide Ueno(上野和秀)
秋恒例の作品展が今年も開催
様々なカテゴリーで活躍するオートモービル・アーティストによる作品展、「自動車アート7人展」が今年も開催されている。クルマを題材とする作品展なのだが、子細に見てゆくとお分かりのように内容がかぶらないのである。カーデザイン、イラストレーション、クラフトワーク、モデル・フィニッシュとカテゴリーは違えど、どれもクルマへの愛と拘りに変わりはないのである。
今回参加したのはオートモービル・アーティストの第一人者である青戸 務氏、畔蒜幸雄氏、稲垣利治氏、大内 誠氏、岡本三紀夫氏、佐原輝夫氏の6名で、7人展のメンバーである児玉英雄氏は仕事の都合で帰国できずお休みとなった。
メンバーが新たに制作した作品展示のほか、作品展を盛り上げるべく共通テーマが設けられるようになった。今年の題材は「ポルシェ911」とされ、それぞれがイメージする作品が一堂に並べられ、来場者の注目を集めていた。
9月30日まで開催
この2017 自動車アート7人展は、9月30日まで開催されている。アーティストは日によって不在の時があるが、在籍していれば作品に込められた思いを聞くことができよう。アクセスの良い場所での開催だけに、クルマ好きであればぜひ訪れたい作品展だ。
●2017 自動車アート7人展
開催日時:2017年9月24日(日)~9月30日(土)
開催時間:11:00~19:00、最終日は18:00まで
開催場所:東京交通会館1階 ギャラリー・パールルーム
問合せ :ギャラリー・パールルーム直通電話 03-3212-3772(期間中のみ)
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オペル、ホンダとカーデザイナーの第一人者として活躍してきた青戸 務氏は、現在もデザイン界の重鎮として活動すると共に、次世代のデザイナー育成も行っている。
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今回は現代のスポーツカーをイメージして描かれたレンダリングが3点展示された。左端のシティコミューターは20年前の作品のためタッチが若いそうだ。
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「個人的にはメカニカルな絵が好きですのでソレックス・キャブ付きの911エンジンをペンとマーカーで描いてみました」 デザイン画と違ったタッチが新鮮だ。
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プロモデル・フィニッシャーの畔蒜幸雄氏は新作の展示のほか、氏が組立説明書を監修するディアゴスティーニのデローリアンの完成見本を持ち込み注目を集めていた。
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アメリカ車を得意とする畔蒜氏は、新作となるフォードF100を中心に新旧様々なカテゴリーの1/25スケールの美しく仕上げられたモデルカーを展示した。
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「すいません、911はオープニングに間に合いませんでした。あと一息で仕上がりますので、会期の半ばにはお目に掛けられると思います。お楽しみに」とのことでした。
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「光と影の世界の表現」というテーマで、紙とカッターナイフから作られた切り絵を製作するのが稲垣利治氏だ。独自の視点に加え印象的な表現が作品の特徴だ。
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今回の展示会には稲垣氏独自の視点で描かれた作品が持ち込まれた。そこにはクルマのみならず曲線美と影が織り成す女性の脚を題材とした作品も展示された。
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課題作の911は「木漏れ日の中の911を緑の中の隠し絵的に表現してみました。和紙を使って車体に写り込む色味の変化を表現する新たな技法で制作してあります」
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テクニカル・イラストレーションの世界的なアーティストである大内 誠氏は、最近の作品を中心に展示。会場ではオリジナル・プリントの販売も行なわれた。
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今回の展示会には、フェラーリ365GTB/4デイトナの透視図作成時にまず製作されたチェック用の下書きも展示され、普段目にできないだけに来場者の注目を集めた。
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911に関する超拘りの書籍を刊行するアメリカのパラボリカ・プレスからの依頼で書かれた1975年911ターボの透視図。そのディテールの考証も含め再現性は驚嘆ものだ。
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クルマと人物をリアルに描き、周囲の空気感までをもみごとに表現するのがイラストレーターの岡本三紀夫氏だ。その活動は多岐にわたり目にされた方も多いはず。
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クルマと人物を写真の様に描くリアルな画法を駆使した作品を展示。シチュエーションがアメリカと欧州では光と空気感を変えて描かれているのはさすがである。
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今回は時間が無く旧作を持ち込みました、とのこと。西海岸のシーンを得意とする岡本氏だけにポルシェ356は多数描いたのだが、911は意外と書いていないそうだ。
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テリー佐原こと佐原輝夫氏は、クルマそのものよりもスピード感、情景、まわりの人々などを描くことを得意とする。自身が熱烈なクルマ好きだけに作風はマニアック。
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今回の新作は不運のドライバーであるジョー・シュレーサーとホンダRA302を描いた作品。以前より描きたいと構想を練っていて、今回ようやく完成し初公開された。
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氏が好きなカレラRSRに得意とするディフォルメを加え、’70年代のポップなデザインでポスター調に表現した佐原氏らしい作品だ。チームの選定もマニアック。