ロードテスト(7) スズキ・スイフト ★★★★★★★☆☆☆
公開 : 2017.09.30 19:10 更新 : 2018.01.20 07:41
走り ★★★★★☆☆☆☆☆
先代スイフトは、ガソリン自然吸気ユニット搭載車の最後の砦ともいうべきクルマだった。特にスイフトスポーツは、常に可変バルブの鋭い切れ味を示した。その熱さは、デキのいいコンパクトカーにふさわしいものだったが、新型のモーターアシスト付きターボの採用は、意味のあるアップグレードだということはすぐに認識できる。
そう思わせるのが、1.0ℓ直3の質だ。フォードのそれに性能でも奔放さでも一歩譲るが、それに似たサウンドとエネルギッシュさをみせる。これは、同じアプローチをとっているからだ。これらはクランクのカウンターウェイトを故意にずらし、左右方向の振動を上下方向に変換し、エンジンマウンドで制御するのだ。
加速時の控えめで力強い吸気の唸りは、トルクがピークに達する2000rpm近辺で発生するが、これはこのエンジンに特有のもの。電力アシストははっきりと体感できるほどではないが、0-97km/hは10.5秒と、コンパクトカーとしては上々の部類だ。
追い越し加速は、ルーズでややしなやかさに欠ける5段MTがなければ、きっと満足できただろう。このエンジンには、ショートストロークで操作が楽しい、フォルクスワーゲンの小排気量エンジンに組み合わされるそれが似合うだろう。ブースタージェットが時にピークパワーを発する5500rpmまで回したい気になるような活気を見せるだけに、ひたすら実用性重視のシフトチェンジが残念だ。
ほとんどノンストップで、それもかなり攻めて走り回ったが、試乗車が見せた燃費は平均16.2km/ℓ。公称値の23.3km/ℓには遠く及ばないが、移動時に限れば20.1km/ℓと、流しているぶんには極めて経済的だ。
テストコース
新型スイフトは、先代の元気者なキャラクターを積極的に引き写しているが、ハードに走ると神経をすり減らすことになる。グリップレベルは高く、基本的なシャシーのスタビリティはどうでもいいのではないかと思えるほどだが、次第に大きくなるロールが前輪の接地を徐々に減らして、最終的にはアンダーステアを発生させるのだ。切りはじめのレスポンスとコーナリングのバランスは、ハンドリングのアジャスト性をせがむようなものではない。
電子制御スタビリティコントロールは、本当に必要な状況以外では影を潜めている。コーナー半ばでのスロットルオンによるアンダーステアを巧くチェックし、また、望めばオフにすることも可能だ。
T2への進入では、トランスミッションのショックによる頼りない乗り心地を露呈する。その振動はキャビンを震わせ、グリップレベルを崩し始める。
やや曖昧なコントロールはスムースなスピードダウンを簡単ではなくする。T4のアペックスではまさにそうだが、ボディコントロールには問題ない。
エンジンは、T6への登りでも3速で加速しようとするが、特に中庸なギア比がここでは役に立つ。
発進加速
テストトラック条件:ドライ路面/気温12℃
0-402m発進加速:17.7秒(到達速度:129.9km/h)
0-1000m発進加速:32.1秒(到達速度:159.3km/h)
キア・リオ(2017)
テストトラック条件:乾燥路面/気温12℃
0-402m発進加速:17.7秒(到達速度:127.1km/h)
0-1000m発進加速:32.7秒(到達速度:155.8km/h)
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温12℃
97-0km/h制動時間:2.9秒
キア・リオ(2017)
テスト条件:多湿路面/気温8℃