アルファ・スパイダーの系譜を探る(1) ジュリエッタ・スパイダー 試乗記

公開 : 2017.10.01 15:40

55年 ジュリエッタスパイダー登場

かくして1900セダンをベースにスパイダーが生まれたのだが、イタリアでは大排気量のクルマに重い税金を課していた。台数を稼ぐには、もっと小さなエンジンのスパイダーが必要だった。

そこで1.3ℓの750系ジュリエッタのセダンとベルトーネ製クーペに加えて、1955年に登場したのがジュリエッタ・スパイダーである。59年にシャシーが101系に進化してホイールベースが僅かに延びたが、ジュリエッタ・スパイダーは基本フォルムを変えることなく10年にわたって生産された。

62年に105系ジュリアのセダンがデビューして以後の最終型はジュリア・スパイダーと呼ばれることになった。アルファとしては、後に送り出す105系のスパイダー=デュエットが不評だった場合に備えて、101系スパイダーを延命させる選択肢も残そうと考えていたのだ。

ジュリエッタ・スパイダーのデザインが古びてきて販売の足を引っ張るなか、エンジンを1.6ℓに拡大すると共に名前も変えたのは正しい直感だったと言えるだろう。

750/101系のジュリエッタ・スパイダーはただ美しいクルマというだけではなかった。戦後のイタリアのスタイルと芸術性を工業的なスケールで広く海外に、とくにアメリカに売り込んだ製品として重要な意味を持つ。

ピニンファリーナはもっと大きくて高価なランチア・アウレリア・スパイダーのラインとプロポーションを、コンパクトなフロアの上に巧みに再現した。750系のスパイダーはセダンやスプリント(クーペ)よりホイールベースを短縮していたが、よりスポーティなフロアシフトを採用したことを除けば、メカニズムは同じだ。エンジンはほぼスクエア(ボア74mm×ストローク75mm)のDOHC。その非凡さはアルファ・ロメオの先進的なエンジニアリングの名声に貢献した。

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