アルファ・スパイダーの系譜を探る(最終回) シリーズ3/4/916 試乗記
公開 : 2017.10.03 11:10
916型でドイツ車への対抗目指した
フロントドライブになったスパイダー・ツインスパークは、直系の子孫だとは謳ってもいないから、シリーズ4が経験したような嫌な感触はない。
このタイプ916のスパイダーはフィアット・ティーポ/アルファ・ロメオ155のコンポーネンツをベースに、今から20年前に生まれた。製造品質を重視するドイツ車にひとびとの期待が向かっていた時代に、フィアット・グループがそれに対抗しようと一丸となって努力したひとつの結晶だ。
その努力が報われたことは、トニー・プリンスとロジーナ・イームズが今回の取材に提供してくれた1996年型のルッソ(上級グレード)が証明している。1999年に彼らがこれを買って以来、ほぼノートラブル。すでにクラシックカー保険の対象だが、最近になってたまにECUに問題が出ることを除けば信頼性に富み、毎日の足に使ってもコストは安いという。
ウエッジシェイプの大胆なフォルムは、同じ90年代の他のクルマと見比べると、驚くほど古びて思える。ボディは挑戦的なまでにワイドで、比較的短い。ソフトトップは小さなトランクの上にスッキリと格納。サイド見切りの大きなグラスファイバー製ボンネットには、小さな丸い穴が合計4つあけられ、そこからヘッドライトが覗く。
その下にあるのは、賢くも横置きされたツインスパーク・エンジンだ。フル電子制御のツインカムで、スムーズさを確保するために2本のバランサーシャフトを装備。7300rpmまで活発に回る。4個のコイルで駆動する8本のスパークプラグは、理論的には10万kmに1度の交換でよい。
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