アルファ・スパイダーの系譜を探る(最終回) シリーズ3/4/916 試乗記
公開 : 2017.10.03 11:10
シリーズ4より高いコストパフォーマンス
ブラック一色のインテリアは平凡だが、ギア比の小さいパワーステアリングの気持ちよさが印象的だ。また、FF車にしては驚嘆するほどタイヤの接地感があり、コーナーを素早く駆け抜けることができる。
ただし、なめらかな感触のシフトレバーの操作を怠ってはいけない。ツインスパーク本来のパフォーマンスを引き出すには、レッドライン近くを保つ必要があるからだ。
洗練されたエグゾーストノートを聞けるのもこの回転域である。今なら£2,500(56万円)かそれ以下で取材車と同等のものが買えるスパイダー・ツインスパークは、シリーズ4よりコスト・パフォーマンスが高く、おそらく今後はもっと値崩れするだろう。
これ以外の歴代アルファ・スパイダーは、市場価値が安定している今が買い時だ。ただし、長らく105系のスプリント・クーペの影に隠れていた70年代のシリーズ2は、取引が活発になってきている。
本物の目利きは750/101系のジュリエッタ・スパイダーを選ぶのだろうが、その価格は今やかなり高い。となれば、80年代のシリーズ3や90年代初期のシリーズ4が、とりあえずはバーゲンだと納得できるのではないだろうか。
アルファ・スパイダーはいつも熱心なファンに支えられてきた。ひとびとが新たな投資先を物色し、クラシックカー市場が高騰するなかで、このクルマは実に興味深いバリュー・フォー・マネーを示している。
考えてもみてほしい。完璧なコンディションの希少なデュエット1750が£30,000(510万円)で買えるのだ。クラシックカーとしての価値は60年代後半のE-タイプやポルシェ911にも負けない。しかしそれらの価格はもはや別世界なのである。