いま乗るルノー・クリオ・ウィリアムズ 93〜96年生産の「極上」の味とは
公開 : 2017.10.07 08:40 更新 : 2017.10.07 15:00
受け継いだルノー5GTターボの精神
開発は、1976年のアルピーヌとゴルディーニの統合に伴い設置されたルノー・スポールの有能なエンジニア、パトリック・ランドンが担当した。
ルノー・スポールが手掛けたクルマには、猛烈なミドエンジンのルノー5ターボがあるが、クリオ・ウィリアムズは、生産中止が決まったルノー5GTターボの精神を受け継いだモデルだ。またグループNのホモロゲーションを得るために開発されたクルマでもある。
クリオ16Vに搭載した1.8ℓDOHCエンジンのF7Pをボアアップして、レギュレーションの規制いっぱいの2ℓまで拡大。加えて、新設計のクランクシャフト、ピストン、断面形状を変更したカムシャフトとコンロッドを採用。アルミ合金製のシリンダーヘッドは、樹脂コーティングによりシーリングを強化し(皮肉なことに、これはF1で開発された技術だ)、標準装備のマニホールドの代わりに4-1のマニホールドを取り付けた。そのほかにインレットバルブの口径拡大、オイルサージを防ぐ改良型バッフルプレートの装備、三電極スパークプラグという改良を施している。
これによってパワーが13ps強化され150psまで向上したが、それ以上にトルクが強化され、わずか2500rpmで最大トルク17.8kg-mの85%を発揮するようになった。また、このパワーアップに対応するため、ルノー・スポールは剛性を高めたクロースレシオのJC5ギアボックスを用意した。
サスペンションにも同じように手が加えられ、レーシングカーのクリオカップと同じ強化クロスメンバーを採用したほか、フロントのロアウィッシュボーンを交換し、大容量のダンパー、厚型トーションバーを追加。ドライブシャフトは長いものを使用し、トレッドは34mm拡大された。しかし、正確なハンドリングを生み出した要因は、ミシュランの協力を得て185/55RパイロットHXを15インチのスピードライン製アルミ合金ホイールに履かせたことだろう。
インテリアは、スポーツバケットシートの採用と細部の変更以外、ほぼ標準のままだ。ただし、ダッシュボードにはエディション番号を記したプレートが取り付けられている。車両重量は1000kgをやや下回り、サンルーフ、カーラジオ、ABSブレーキ等はオプションだが、ABSは仕様で指定することもできた。