いま乗るルノー・クリオ・ウィリアムズ 93〜96年生産の「極上」の味とは

公開 : 2017.10.07 08:40  更新 : 2017.10.07 15:00

クリオ・ウィリアムズの内装 どんな感じ?

インテリアについても同じで、ブルーのテーマカラーでコーディネートされたシートベルト、計器類、シフトノブ、カーペット、シートに刺繍された「W」の文字にも活かされている。シートはぱっと見ると、蛇皮仕上げなのかと思ってしまう。

計器を収めたプラスティック製のメーターナセルは、5GTターボに似ているが、雰囲気や品質はこちらの方が勝っている。インテリアパッケージの最後を飾るステアリングホイールは、少し陳腐なルノー19 16Vの3本スポーク。インテリアは快適だが、なにか特別なものを感じさせるタイプではない。

このクルマには、ドライバーズシートに腰を下ろした瞬間に秘めた実力を感じさせるものがある。ルノーは、どうすればサポートに優れたシートを作れるか良く知っているのだ。サポート性能を侮るのはたやすいが、それは単にドライブ中のことだけでなく、乗った瞬間にドライバーとクルマを結びつける働きもある。

ステアリングホイールとペダルの配置は最適だが、シートはやや左寄りに感じる。ただし、気になるのは最初だけだ。むしろ、ワイパーを隠すボンネットの窪みがないことに少しガッカリするかもしれない。視覚的配慮がなく、ワイパーがむき出しなのは興ざめだが、どっちにしろ作動させればワイパーは丸見えになるものだ。

低速域では、標準のクリオと大して変わりはない。サスペンションはやや固いが、頭の中で脳が飛び回るほどではないし、エグゾーストも室内に響いてこない。だが、ステアリングは極めてダイレクトだ。特に操作しているときに強くそれを感じる。

スロットルを踏み込むと、エンジンの立ち上がりの良さもよくわかるし、レスポンスが俊敏で、レブカウンターの針はすぐに飛び上がっていく。切れのいいギアボックスもそうした印象を強めているはずだ。

郊外のワインディングに出ると、このクルマの特別な資質がすぐに明らかになる。プジョー205GTiが過去10年間に示していた方向性そのもので、シャシーの仕立てやサスペンション設定は絶品だ。だがこちらはそれを数段高めたような素晴らしいハンドリングを示す。

コーナーに近づき、鼻先をインに突っ込み、アクセルを踏み込むと、一定の力でしっかりと路面をグリップするのが感じられる。自分のコーナリングの見事さに惚れ惚れして、もっと速度を上げて何度も往復したくなる。

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