トヨタ・ヴァーソ・アイコン2.0 D-4D
公開 : 2013.01.25 18:29 更新 : 2017.05.29 18:49
■どんなクルマ?
ヴァーソがミッドライフのフェイスリフトを受けた。この7シーターのMPVは、2009年にデビューしたモデル。スタイリングは、微調整が行われたノーズ、スリムになったドラ・ミラー、新しいホイール、統合されたリア・ディフューザーなどでブラッシュアップされている。また、インテリアは、より高級なファブリックが仕様されるようになっている。
新しいヴァーソは20mmほど全長が長くなってはいるが、そのホイールベースは2780mmと変わりない。
エンジン・ベイとキャビンの間の遮音性を高め、風切り音も低くなったことで、居住空間はより静かになり快適性を増している。
フロントがマクファーソン・ストラット、リアがトーション・ビームというサスペンションは、ダンパー・セッティングが変更され、ステアリング・コントロールのソフトウェアもよりライナーなレスポンスとなるように改良されている。また、ボディ剛性を高めるために、溶接点が増やされ、フロント・サスペンションのマウントも固められた。
エンジン・ラインナップは、2つのガソリン・エンジン(130bhpの1.6ℓと145bhpの1.8ℓ)が持ち越され、ディーゼルの122bhpの2.0ℓD-4Dは微調整がされた。ディーゼル・エンジンは、可変ノズル・ターボチャージャーが搭載され31.5kg-mのピーク・トルクが200rpm低い回転数で発生するようになったのだ。
トリムは3種類。アクティブ、アイコン、そしてエクセルの3つだ。ベース・トリム以外は、5シーター・モデルも復活している。
今回試乗したアイコン・トリムでは、16インチ・アロイホイール、ブルートゥース、リア・ビュー・カメラ、デュアル・ゾーン・エアコン、リトラクタブル電動ミラー、クルーズ・コントロール、DABチューナーが標準で装備されていた。
■どんな感じ?
GT86やLF-Aによって、ここ2、3年のトヨタの評判は上がっている。その一方で、フェイスリフトに失敗したモデルも存在する。アヴェンシスなどはその際たる例だ。しかし、今回に限っては、エンジニアは素晴らしい仕事をしたといって良い。
より静かで、スリムで、従順で、快適なクルマに仕上がっている。34も増えたスポット溶接部分によって、そのボディ剛性は上がっている。その結果、リチューンされたサスペンションと共に、フォードのような機敏で優れたドライビング・フィールを得ることに成功しているのだ。
しかし、変更されたステアリングは賞賛に値するレベルには達していない。若干遅く、フィードバックも少なく、フィーリングに欠けるものだ。とはいうものの、グリップを把握するには充分で、高速道路では適度な重さももたらしてくれる。
エンジニアによれば、そのD4-Dエンジンは、12ヶ月以上前にアヴェンシスが採用したものと同じ改良を施しているという。しかし、ダイナミックなパフォーマンスを得るために、アヴェンシスほど燃費志向には振らず、エンジン・マッピングもリニアなものに再プログラミングされたという。その結果、遥かに敏感で満足のいくユニットとなったのだ。
確かにCO2排出量は130g/kmを切る程度かもしれない。しかし3000rpmも回せば充分なエンジンで、6速オートマティック・ギアボックスとのマッチングも抜群だ。窓を開けていれば、そのディーゼル・エンジンのサウンドはキャビンに入ってくるが、窓を閉めてしまえばそれも全くもって気にならないレベル。振動も少なく、ハイウェイの風切り音も少ないから、大声でリア・シートの住人と話す必要もない。
■「買い」か?
今回のフェイスリフトは成功したといえるだろう。しかし、まだ満足でいない部分もある。特に、プラスティッキーなダッシュボードは残念なところだ。しかし、その分、耐久性はあるのだろう。
21,445ポンド(306万円)という価格も非常にコンペティティブだ。3列目シートは子供用としても7シーターというのも魅力的である。
(ニック・カケット)
トヨタ・ヴァーソ・アイコン7シート2.0 D-4D
価格 | 21,445ポンド(306万円) |
最高速度 | 185km/h |
0-100km/h加速 | 11.3秒 |
燃費 | 20.4km/ℓ |
CO2排出量 | 129g/km |
乾燥重量 | 1540kg |
エンジン | 直列4気筒1998ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 122bhp/3600rpm |
最大トルク | 31.5kg-m/1600rpm-2400rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |