「100万人の命を救った男」 横滑り防止装置の開発者をインタビュー
公開 : 2017.10.14 18:10
ヴァーナー・モーン、何を思う?
ドイツ語、スウェーデン語、そして英語という言葉の壁があるにも関わらず、われわれが1989年のメルセデスと若き日のトミー、そしてレッカー車とともにビュルストロムが写っている写真を見せると、ビュルストロムはわれわれの訪問目的と、われわれが何を見つけだそうとしているのかを理解してくれた。
その写真を見ると彼の眼は輝き「わたしについてきてください」と言ったのだった。
われわれは真っすぐな、そして凍りついた道を町から4kmほど南へ向かった。舗装は手を入れてからかなりの年月が経っており、まさに何処にでもあるようなスカンジナビアの片田舎だ。
しばらく走っていると、ビュルストロムはクルマを止め、窓から腕を出して、われわれ取材班に合図を送ってきた。そこには未だに大きな側溝があったが、大きな木は道路脇から姿を消していた。
氷点下で何とか暖を取ろうとしながらも、クルマから降りてきたビュルストロムとモーンは分厚いスノージャケットのうえから不器用にハグをしている。
あの事故以来の再開。目に涙を浮かべながら「あれはわたしが発明したにも関わらず、技術を手放さざるを得なかった。しかし、今思えばあの技術を開放して、全てのクルマに広めることができたのは最高の決断でしたね」とヴァーナー・モーンは言う。