BMW Z8試乗記 相場は正直? 「オリジナル」の理由を探る

公開 : 2017.10.15 17:10  更新 : 2017.10.16 06:06

コンセプトから、ほとんど変わらなかった

かってフィアットにいたクリス・バングルの部下で、デンマーク生まれのヘンリック・フィスカーがスタイリングを担当し、そのインスピレーションは、最初のコンセプトどおり紛れもなく507に求めていた。50年代におけるスタイリングのテーマは、運転席の後部のスポーツレーサー風ヘッドフェアリングにも及んでいる。

Z07への反響があまりにも大きかったため、BMWは、ほぼそのままの形で生産することを決定した。Z8は、BMWにとって、当初から、自社の新しい車体製造技術を宣伝する手段であったと見てよい。

一例は、Z8に使われている特注品のアルミスペースフレームシャシーであり、これは、プレス合金で造られたボディパネルとともに、Z8が、セダンをつぎはぎした急ごしらえのクルマではないことを証明するものだった。

Z8の場合、例えば、ポルシェボクスターなどとは違い、コンセプトカーから生産に移行する間に、スタイリング上の特徴が失われることはあまりなかった。ヘッドフェアリングがなくなった以外、フロントガラスがわずかに拡張され、フロントとサイドのウインカーが両ウィングのクロム風のエアーベントに移動され、安定性向上のためにフロントエアダムを深くしたにとどまる。

量産モデルは、それ以外の点において、ベースになったワンオフのテスト車に驚くほど忠実である。インテリアについても同じことが言え、マイケル・ニミックの手がけたショーカーのキャビンをほぼそのまま再現している。

粋なボディの下は、フロントエンドのサスペンションにマクファーソンストラットを使い、リアサスには、マルチリンクとコイルが。両エンドにアンチロールバーを配置した。

この怪物を駆動するのが、騒々しいE39世代のM5と共用する4941cc、オールアロイのM仕様V8エンジンである。エンジン出力もM5と同じだ。

6600rpmで強烈な406ps、3800rpmで50.9kg-mのトルクを絞り出す。重量は(M5より180キロ少ない)1585kgであり、メーカーの数字によれば、0-96km/h加速が4.7秒、0-160km/h加速が11秒、電子制御による最高時速は248km/hに達する。

Z8は、1999年に発売され、一瞬しか登場せず、スタントに使われたクルマも、実際にはダックス・トジェイロにボディを載せ替えたものだったにもかかわらず、『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』とのマーケティングタイアップのおかげで、このバイエルン産のロードスターの知名度が大幅に上がった。

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