フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.6TDI S
公開 : 2013.01.29 19:00 更新 : 2017.05.29 18:58
■どんなクルマ?
最も質素なフォルクスワーゲン・ゴルフだ。今までの歴史からすれば、フォルクスワーゲンの購入者のほとんどが、この最も安いSトリムを避け、もう一つ上のSEトリムを購入しているようだ。しかし、今回のSトリムは、5.8インチのマルチメディア・タッチスクリーンと、DABチューナー、ブルートゥース接続を標準で装備してきたので、あえてSEトリムを選ぶ必要はあまりない。
エンジンは1.6ℓのターボ・ディーゼルが搭載される。ガソリンの1.2TSIよりも2,500ポンド(36万円)高い価格であるが、CO2排出量が99g/kmと100g/kmを切るための税制優遇と、26.3km/ℓという優れた燃費を考えれば、実質的には最も安いモデルといっても過言ではないだろう。もちろん、アイドリング・ストップは標準だ。
但し、この廉価版モデルのリア・サスペンションは、標準的なマルチリンクではなく、トーションバーとなっている。また、ホイールは15インチのスティールとなっている。もし、若干予算に余裕がるのであれば、825ポンド(12万円)で、16インチのアロイホイールにアップグレードをおすすめする。また、3ドア・ボディを5ドアにするためには、20,000ポンド(28万円)ほど高くなる。
■どんな感じ?
通勤電車のような布製シートではるが、シンプルなキャビンは快適だ。ディーゼル・エンジンのサウンドが若干入り込んできてしまうが、それは予想の範囲内だ。
フォルクスワーゲンは、ディーゼル・エンジンの内部摩擦はかなり減らされたという。また、新しいモジュラー・デザインのおかげで、ささやくようなサウンドしか走行中は聞こえてこない。
104bhpのエンジンではあるが、0-100km/h加速10.7秒は立派な数値だ。それは適切なギア・レシオが与えられているからであって、このベーシックなゴルフを活発に走らせることができる。
但し、5速はハイギアードで、さすがにもたつきを感じる。5速ギアのまま追い越しをかけようとするのであれば、事前の計画が必要だ。しかし、総じて、5速マニュアルのギア比は適切で、不便を感じることはほとんどないといって良い。50km/hで走行している時に、燃料を食う3速を選ぶか、燃費を重視して4速を選ぶかに悩むぐらいだ。アウトバーンで5速走行であれば100km/h巡行はたやすい。
幸いにも、そのパワーに対する苛立ちはなかった。
この1.6TDI Sも、すでにわれわれが経験したニュー・ゴルフと大きく変わることはない。活発で、最小限の入力に機敏に反応してくれるクルマだ。基本的なサスペンション・セットアップも大きな変化はない。確かにトーションビームは、マルチリンクに比べると若干うるさく、ほんの少し轍を拾うが、それが買わない理由にはならない。
■「買い」か?
長距離でのランニング・コストと、低いCO2排出量を考慮するのであれば、5ドアの1.6TDIはベストに近い選択だ。もし、ガソリン・円仁がお気にめすのであれば、1.4ℓのTSIが価格的には折り合うものとなる。この場合、おなじ価格で、アロイホイール、クルーズ・コントロール、マルチリンク・リア・サスペンションが含まれる。
もし、この1.6TDIにライバルがあるとすれば、それはゴルフの中ではなく、おなじフォルクスワーゲン・グループのセアト・レオンだろう。
(ニック・カケット)
フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.6TDI S
価格 | 19,565ポンド(279万円) |
最高速度 | 175km/h |
0-100km/h加速 | 10.7秒 |
燃費 | 26.3km/ℓ |
CO2排出量 | 99g/km |
乾燥重量 | 1295kg |
エンジン | 直列4気筒1598ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 104bhp/3000rpm-4000rpm |
最大トルク | 25.4kg-m/1500rpm-2750rpm |
ギアボックス | 5速マニュアル |