ゆれるVWの今、これから CEOマティアス・ミュラー 独占インタビュー

公開 : 2017.10.21 11:10  更新 : 2017.12.14 12:37

あのとき、何があったのか

彼は人目をひく男だ。髪は白髪だが、眼鏡はかけておらず若々しい。その日焼けした肌は恐らくこの数週間を太陽の下で過ごしたに違いない。直ぐにでも船乗りになれそうだ。

にこやかに、しかし力強く手を差し出し、わたしのことをクリスチャンネームで呼んで、こじんまりした部屋へと案内してくれた。カメラマンの指示に従って(中には従わない人間もいる)席に座り、まるでこのインタビューが非常に大切であるかのようにふるまうのだ(繰り返すが、中には全く反対の人間もいる)。

ていねいな説明の後では、ロードマップEの粗探しや、その真の目的について質問するのは場違いに思われたので、この方針転換における所謂「ディーゼルゲート」の影響から質問を始める事にした。

ミュラーは自然体で、インタビューへの戸惑いを見せることもなかった。

「われわれの新たなロードマップはディーゼルだけが理由ではないのです」とミュラーは言う。つまりは、ディーゼル・スキャンダルがやはりその背景にはあることは認めているわけだ。

「2015年の初め、(マーティン)ウィンターコルンがフォルクスワーゲンのトップだった時から、既にわれわれは「フューチャー・トラックス」と呼んでいたグループの将来像に関する議論を始めていました。

「当初は当時の現状から大きく飛躍するような内容はそれほど含まれてはいませんでした。2015年の秋にディーゼルゲートが発覚して、わたしがウィンターコルンの後を継ぐことになったのです」

「ディーゼル・スキャンダルを糧として、われわれの新たな戦略を作り出す必要があることは明らかでした。議論を重ね、将来的なモデル構成はどうあるべきか、特に、内燃機関、電気、プラグイン、ガス、その他を含めた動力源の組み合わせをどうするべきかについては、かなり熱心に議論を行いました」

「昨年末頃、ようやくわれわれはロードマップEとして発表する事になった結論の多くに達する事ができ、実行段階に入りました。今皆さんが目にしているのは今後10年から15年先の将来に対するわれわれのコミットメントなのです」

フォルクスワーゲンがこれほど全面的な電動化を進めるとは思っていなかったことを打ち明けても、ミュラーはフォルクスワーゲンが達成したことを誇るでもなく、この途方もない作業を強いることとなった状況に不満を漏らす事もなかった。

電動化に向かうのは構わないが、EVの採算性の悪さについてはどう思っているのだろうか? これほど多くのEVモデルの販売と、そこに巨額の投資をするのであれば、どうやって採算性を確保するのだろうか?

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