ゆれるVWの今、これから CEOマティアス・ミュラー 独占インタビュー
公開 : 2017.10.21 11:10 更新 : 2017.12.14 12:37
EVについて、何を思う?
ミュラーの答えは「それは簡単です」というものだったが、正直驚かずにはいられなかった。
自動車業界においては、特にコストの問題はそれほど簡単には解決できないはずだ。しかしミュラーによれば、間違いなくバッテリーとその他主要なコンポーネントのコストは、これまでの内燃機関のクルマとは異なり、今後数年で劇的に低下するというのだ。
「採算性確保に向けた大きな一歩を踏み出すことができると考えています」と彼は言う。「次の世代のEVでは内燃機関のモデル程の収益性をもたらす事ができないとしても、だからこそ、われわれは内燃機関とEVの共存について議論を行っている訳です」
「両者のコストが逆転する時が今後5年から7年の間に訪れると予想しています。そうすればわれわれの収益を改善させることができるでしょう」
一方、ミュラーは顧客がこの移行過程をすんなり受け入れるかどうかについては自信が無いようだった。「内燃機関がその橋渡しをする必要があるんです」と彼は言う。
「完全な市場のEV化にはまだまだ時間が掛かるでしょう。われわれのうち誰もそれが何年先になるかわからないんです。顧客が決める事になると思います。しかし、充電インフラがまだまだ脆弱であることを考えれば、それほど早い時期ではないでしょうね。全ての政府が充電インフラの整備に格別の注意を払う必要があります」
ここでわたしは、なぜフォルクスワーゲンのセールスは依然として力強いのか、なぜ彼らの顧客はディーゼル騒動があったにも関わらずフォルクスワーゲン・ブランドを愛し続けているのか、ミュラーの見解を是非聞いてみたくなった。
フォルクスワーゲン・グループCEOの答えは皮肉を交えつつも、簡潔且つ具体的だった。つまり裁判に関するメディアの報道ぶりと、それとは正反対の好調なセールスというものである。