ジャガーE-PACE試作車、試乗 クロプリー英国編集長が助手席で

公開 : 2017.10.23 11:40  更新 : 2017.10.23 12:58

E-PACEは「スポーツカー」か

こういうクルマの高速域性能は、郊外の岩盤を走った時でも問題ないレベルであるべきだと思うが、E-PACEにはそれが備わっている。

独立式サスペンションと20インチホイールのおかげで、試作車はフラットで快適な乗り心地ながら、マンホールの蓋やら郊外の轍やらを感じ取ることができる。ここまでは良い感じだ。

だが、ジャガーが高らかに宣伝する通り、シリーズで最も高い出力を誇るこのタイプは0-100km/h加速がたったの5.9秒で、クラストップに近いポジションをマークする。

チーフデザイナーのイアン・カラムがE-PACEのことを「普段使いにデザインされたジャガーのスポーツカー」と表現するのも納得だ。注意して走ってみるとよくわかるが、低速走行時には圧倒的な牽引力が発揮されるのだ。

E-PACEには、ツインカップリングを搭載する4WDアクティブ・ドライブラインというテクノロジーが採用されている。標準のシステムだと前輪がスリップし始めるまでは横置きエンジン前輪駆動車のような機能をするが、このアクティブ・システムは最大100%の駆動トルクを後輪に配分し、リアディファレンシャルの両サイドに配置されたふたつのクラッチによって後輪のトルク・ベクタリングが作動する。このシステムによって後輪駆動をドライブする興奮が増すし、ジャガーのダイナミックな後輪駆動フィールが広く認知されるだろう。

他のジャガーモデル同様、ZF社製のふたつのドグクラッチを使った9速ATを搭載しているので、シフトレバーを「Sモード」に入れっぱなしにしてスポーティな走りを楽しむことができる。

もちろんドライバーがギアチェンジすることもできるし、われわれも何度も試したが、最大回転数の6500rpmに達するとアイドルギアが維持され、エンジン音は多少抑制されるものの、4気筒エンジン搭載車のようなパワフルな音を奏でる。

インジニウム・エンジンの最近のテストでは、うるさいと感じたり、大衆向けだと感じる声が上がったが、ジャガーはその性能を買っているようだ。つまり、力強い推進力、ギリギリまでの回転上昇、自動シフトモードで5000rpmの9速に入れるとミサイルのような高速を出せるというのが強みだ。

われわれが1.5時間ドライブした道はその状態、幅、勾配が変化に富んだため、乗り心地の良し悪しがよくわかった。E-PACEはホイールが大きい割に路面騒音の影響を受けにくいのが最大の長所だ。中速での安定性とグリップ性については、極端な傾斜でない限りは車体を素晴らしくコントロールできてロールが抑えられ、柔軟にコブを乗り越えることができた。

ただ、高速で凸凹道を走るとガタガタと振動が伝わってきて少しタイヤ音が響いた。完璧主義者であれば、より高い車体の安定性を求めるだろう。

クロスは「だからこそアダプティブ・ダンピングシステムがオプションで用意されているのです」と説明する。「今付いているノーマルなサスペンションもいいけれど、アダプティブの方がさらに性能が高まります」ということだ。

もしも自分がE-PACEのトップモデルを設計するとしたら、そのパワーを最大限に活かすためにアダプティブ・ダンパーとアクティブ・ドライブラインが欠かせないし、パドルシフトも付けるだろう。

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