フェラーリを買ったらどうなる? 「関係者」8名の証言 (回顧録11)
公開 : 2017.10.29 06:10
証言5:「フェラーリはひ弱じゃありません」
名前
クリス・タイラー
所有車
1984年型308GTS QV
たいていのフェラーリは甘やかされて大事にされているはずだが、この308は違う。「ミスリル・レーシング」はスーパーカーやレーシングカーを用意して、顧客にサーキット走行の体験の機会を提供する会社である。そしてここにご紹介する308はグッドウッド・サーキットで、6年間に5000人の顧客を乗せ、6万kmもの距離を走った個体だ。
サーキットでフェラーリを酷使するには、相当な維持費がかかると思うだろう。だが、ミスリル社のディレクター、クリス・タイラーによれば「そうではない」という。
「顧客の多くは大衆向けのサルーンしか乗ったことがないひとたちです。言うまでもなく、しょっちゅうギアを入れ間違います。それでも一度も壊れていません」
この308は約500万円でミスリル社に身請けされて以降、年1回のメンテナンス(10〜20万円)を受けながら、4セットのタイヤ(80万円)と6セットのブレーキパッド(10万円)で生き長らえてきた。
これまでに受けた修理はブレーキディスクとキャリパー、カムベルトの交換、電装系のマイナートラブルだけである。そしてつい最近120万円相当のオールペイントが奢られて輝きが復活した。この先どこまで酷使に耐え得るか、興味は尽きない。