フェラーリを買ったらどうなる? 「関係者」8名の証言 (回顧録11)

公開 : 2017.10.29 06:10

証言8:「ポルシェ・フリークですけど何か?」

名前

ロブ・ヤング

所有車

2001年型360モデナ

ポルシェ好きとフェラーリ好きは水と油の仲。しかし、911ターボを所有するロブ・ヤングは3カ月前、360モデナを手に入れた。彼の評価はどうだろう?

「まずぞっとしたね。ウェットでの走りと、お金の面で。濡れた路面では危なっかしくて扱い切れないよ。でもドライなら、ロータス・エクシージをもっと大きく、もっと速くしたようなクルマだね。純然たる速さではポルシェの勝ちだけど、フェラーリの方が速く感じるし、ドライバーを鼓舞してくれる」

フェラーリのオーナーは、ドライビング以外の部分でも特別な体験をするとヤングは付け加えた。

「とても注目を浴びるクルマだね。ポルシェも目立つけどフェラーリほどではない。誰もが赤いフェラーリには興味があるみたいだ。わたしもそれで二度ほど面倒な目に遭ったよ。近所の警察に目を付けられたことと、別な女の子を誘ってドライブにでかけたところをガールフレンドに見つかってしまったこと。どちらもかなり厄介だったよ」

ヤングが買った360は走行距離8000kmの個体。すでにその時点で3回のメンテナンスを受け、カムベルトが交換されていた。

「定期メンテナンスは本当に必要なのかと疑問に思ってしまうね。それもフェラーリのオーナーにとっては当然のことなのかな?」

だが、手に入れてから間もないのに、彼の銀行口座の残高は確実に減っていた。まずはエアコンのフィルターを交換しなければならなかった。フィルター自体の代金は7000円でも、エアコン不調の原因を突き止めるまでの工賃が約8万6000円もかかっていた。

そしてタイロッド・エンドとロワー・ボールジョイントの交換に20万円である。それ以来、彼は28万円を払ってメーカー保証を延長した。さらに30歳のヤングの場合、保険料が年間45万円必要で、月々のローンの支払いが40万円だ。まったく高価なオモチャである。

彼はヴァイザッハを見捨てて、マラネロに鞍替えできるのだろうか?

「ポルシェの代わりにフェラーリというのは無理だね。フェラーリは使えるシチュエーションが限られている。わたしは普段は911を使い、フェラーリは愉しみにとっておくつもりだ。走行距離が伸びるとリセールバリューも下がるし、フェラーリに毎日乗るなんてマゾヒストのやることだよ」

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