試乗 ジャガーE-タイプ 当時ジュネーブでの展示車両で発表の地へ

公開 : 2017.10.28 17:10

いざ「885005のE-タイプに」に試乗

われわれは、このクルマが保管されているチューリッヒ近郊のタールヴィルを出発した。クルマは、SS90、SS100を始め、すべてのXKを含むジャガーの歴代名車とともに地下のガレージに保管されている。

他のモデルと比べるとE-タイプはほかの姉妹とはまったく違って見える。当時XKがスポーツカーの基準となっているひとびとにとっては、E-タイプの登場は畏怖の念をもって迎えられたはずだ。

われわれは早朝に出発した。チューリッヒからジュネーブまで普通ならわずか3時間のドライブだが、山道を選んだためそれよりずっと時間がかかりそうだったからだ。

今回の同乗者は、このクルマのオーナーであるクリスチャン・ジェニーと、このクルマをレストアしたGBデニ・クラシックスカーのゲオルグ・デニだ。

わたしは最初、ジェニーの隣のパッセンジャーシートに座って、ダッシュボードのレイアウトや、ドライバーの前の美しいスミスの大型メーター、アルミニウムパネルに取り付けられた補助メーターを感動しながら眺めていた。

室内は「フラットフロア」カーで、ややタイトだ。チューリッヒで高速を降り、アルパインロードに向かう際、ダッシュボードにグラブハンドルがあるのに気づいた。

ジュネーブ・モーターショーの開催中、ジャガーのブースで問合せをし、購入の意思があると認められたひとにはチケットが配布された。

このチケットをもって外のデモンストレーションベースにいくと、ノーマン・デュイスの77 RWかボブ・ベリーの9600HPに同乗できた。

デュイスは当時を振り返って、試乗の途中で「道が平らになると時速120から130マイルで走った」と語っている。ならば、グラブハンドルに手を伸ばしたパッセンジャーもかなりいただろう。

しばらくして、後部座席に座っているデニから885005のヒストリーを説明してもらった。ジュネーブ・モーターショーが終わった後、スイスの公道ライセンスを取得するため、ガラージ・クラパレドに戻され、5月16日にCAPアシュランセズ社に販売された。

1970年代になると、ほかの多くのジャガーの中古スポーツカーと同様に扱われ、ある日リアを破損する事故を起こした後、スイスのジュラ州にあるディーラーに持ち込まれた。更にオーナーが数回入れ替わった後、ふたりの兄弟が購入し、20年近く所有し続けた。その頃には、誕生時の栄光の日々のことは完全に忘れ去られていた。

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