80年代ヒーロー対決 M3スポーツ・エボ vs シエラRSコスワースvs 190E 2.5-16(最終回)
公開 : 2017.11.05 11:40 更新 : 2021.01.30 21:04
80年代のヒーロー対決、最終回です。登場するのはメルセデス・ベンツ190E 2.5-16編。3台のなかで、最終的に選ばれるのは何でしょう?
もくじ
はじめに
ー クルマはつまらなくなったのだろうか?
BMW M3スポーツ・エボリューション編
ー 世界が送った「熱視線」 いまは?
ー 軽やかに高回転域へ トルク不足払拭
フォード・シエラRSコスワース編
ー シエラRSコスワースは「夢のクルマ」
ー 直線加速で圧倒 ただし重心高のネガも
メルセデス・ベンツ190E 2.5-16編
ー 190E 歴代最高のエンジニアリング
ー スピード/スリル バランスの妙
おわりに
メルセデス・ベンツ190E 2.5-16編
190E 歴代最高のエンジニアリング
3台のなかで、唯一メルセデス190E 2.5-16の能力は未知数だった。2.5ℓ版の「16」は販売台数が少なかったせいもあり、当時接する機会がほとんどなかったからだ。
メルセデスは190E 2.5-16をリリースする前、1984年から’88年の5年間に2.3-16を1万9487台も販売した。それに対して1988年に190Eのマイナーチェンジの一環として登場した2.5-16は約900万円という価格が災いして、トータルの販売台数はわずか5473台にとどまった。
2.5-16は登場からわずか9カ月で2.5-16エボリューションにバトンタッチし、さらにその1年後にはエボリューションIIへと進化を遂げてDTM選手権で優勝を飾る。
1980年代生まれの3台を20年後の今日、改めて見直してみると、190Eがもっとも優雅に齢を重ねているように思える。派手すぎず地味すぎず、ベストバランスを保つその均整のとれたシルエットはたまらない魅力を放つ。
さらに室内に入ると、190Eが歴代メルセデスの中で最高のエンジニアリングであると言われる所以が理解できる。あらゆるところが現行のメルセデスのどのモデルよりはるかにしっかり作られているのだ。
スタンダード仕様に対して特別なモディファイも多い。インパネには油圧計、水温計、油温計、バッテリー計、そしてストップウォッチまで備わっている。
ビックボアの2.5ℓ直4エンジンに火を入れると、コスワース製16バルブ・シリンダーヘッドがカチャカチャと音を立て始める。ギアボックスはM3と共通のもので、1速ギアはHパターンから外れいているが、その代わり2速と3速、4速と5速間はシフトしやすい。クロースレシオのギアは7000rpmを許容範囲とするエンジンを有効に使うことができる。