究極のスポーツカーはどっち? ポルシェ911GT3 vs ルノースポール・メガーヌR26
公開 : 2017.11.04 16:10
最終ステージに用意された劇的幕切れ
サーキットでの対決を終え、われわれは最後のステージである公道で両者のパフォーマンスを比較することにした。
ところが、ここでまた予想外の事実が判明したのである。
R26はホットハッチ選手権で確認したとおり、荒れた路面をまったく気にせず快適で洗練された走りを披露してくれた。ところがGT3は、同じ条件下でR26以上のパフォーマンスを見せたのだ。
もちろん高速道路におけるGT3の走りは、R26のように洗練されたものではない。乗り心地もノイズもひどいものだ。サーキットでのフィーリングを最優先して設定されたステアリングは、ガラスのようになめらかな路面以外ではあまりにダイレクトでキックバックが強い。そして高速道路の大部分は路面が荒れており、そこを長時間走るのは苦痛でしかなかった。
それとは対照的に、R26は今回の対決で走ったすべての路面状況に対応していた。公道においてはGT3よりはるかに優れたクルマであることを実証した。日常のアシとして十分に活用できるスポーツカーである。
ところが、である。
日が暮れて道が空き始めてクルマの流れもスムーズになり、GT3のポテンシャルを解き放つことができる機会が増えてくると、主導権がはっきりと入れ替わる。
いかなるドライバーがどれだけハードにムチを入れたとしても、本領を発揮したGT3にR26でついていくことはおそらく不可能だろう。
途中で何度かクルマを乗り換え、その都度それぞれの印象を話し合ったのだが、GT3から降りたテスターは疲れてはいるものの興奮した調子で、そのすばらしい走りに感激したという感想を述べていた。
一方、R26から降りたテスターは、GT3から降りたテスターを羨望のまなざしで見つめ、次に自分がGT3に乗る順番がくるのを心待ちにしている様子がありありとわかるのだった。
これが今回の「挑戦」の結末だ。すなわち「挑戦者側が見事な成績をあげても勝利するとは限らない」──である。
世界最高のハイパフォーマンスカーは別格だということなのか。これは決してR26がよくできたクルマであるという事実に異論をはさむものではない。しかし、GT3はやはりまったく別の「なにか」なのである。