ジャガーXJR「575」試乗 5.0ℓV8スーパーチャージャーの威力は?
公開 : 2017.11.06 12:10
走り、ジャガーらしく 5ℓV8の性格も
リア・シートはいい。ロング・ホイールベースのXJならリアのレッグ・ルームは素晴らしく、ジャガーはこれを「エアライン・スタイル」の個別シートと呼ぶ。
可動域も大きく、とても快適でもある。でも「エアライン」なんて呼び方はXJRに対して失礼だとも思う。最近、X線チェックでシャンプーがひっかかるし、マークス&スペンサーのベーコンに£4.75(710円)も支払わされるしで頭にきているのだ。短距離フライトより毎回XJのリア・シートに乗せてほしい。
しかし、わたしの、そしておそらくあなたの、関心事はフロントシートだ。XJ、なかでもXJRが今でも魅力的なラグジュアリーカーである理由は、その素晴らしいドライビングにある。
電動アシストのステアリングは、2年前にXJを運転したときから良かった。だから以前より良いか悪いかはわからないが、相変わらずとてもスムーズで気持ちの良い重さがあり、セルフ・センタリングの具合もちょうどいい。クラスで1番といってもいい。
同様に乗り心地も素晴らしい。
道のでこぼこを吸収する能力は、Sクラスのもっとも足のやわらかいモデルが比類するのみだ。しかも1875kgのボディを巧みにコントロールする。デザインとダイナミクス。ジャガーが常に正しく見える所以である。
エンジンとギアボックスの組み合わせもなかなかいい。25psのパワーの上乗せは制御ユニットの変更によるものなので、エンジンは相変わらずいい音を奏で、芳醇で、レスポンスもリニア。スムーズに変速し、リア・タイヤからスモークを上げることも簡単だ。
でも、いつまでも続きはしない。
5ℓスーパーチャージャー付きのドンキー、パワーは575psもあるが燃費は9.0km/ℓでCO2排出量も264g/kmだ。試乗車では6.3km/ℓだった。こんなパワートレインはほかにあるだろうか。世界の一部ではこれからも使われるだろうが、北欧では売れなくなり始めている。