ゴードン・マーレー、「天才デザイナー」と呼ばれるまでの軌跡 新本社を訪問
公開 : 2017.11.11 10:10 更新 : 2021.03.05 21:29
ミンバグ 実際にドライブしてみると?
運転するとクルマが実際より大きく感じられる。
ルーミーなコックピット、低くて広いドライビング・ポジション、サポートが素晴らしいシート、それに恐ろしいほどの視界の良さのせいだろう。
ふつうの小型車のコックピットに見られる妥協はほとんどない。これを作ったのは身長196cmの大男であることを忘れないでほしい。
パワーは乗車した状態でも1トン当たり152psである。それでも全体としては小さい。車線は広く感じられるが、クルマが狭いのだ。そのため、カーブごとに昔スタイルのライン取りをするようになる。それに2000rpmからでも最大トルクが得られる。
何より素晴らしいのは、このクルマが懐かしいリア・ドライブのバランスを持っていることだ。重量配分がミニよりずっといいから乗り心地も硬くない。バンプもきちんと吸収するし、コーナーでのロールもわかりやすい。
しかし、ターンインは適切でシャープ。グリップも印象的だ。なかなかアンダーステアにはならないし、ミドルコーナーでスロットルオフにしてもミニ十八番の急なオーバーステアも起こらない。ハードなドライビングでも同様だ。
このミンバグのレプリカは珍しいだけの、巨匠デザイナーの数ある作品のひとつに過ぎないかもしれない。白状しよう、わたしもそう思っていた。
しかし朝のダンスフォールドで、この小さくて奇妙なクルマにたくさんの能力が隠されていること、40余年にわたりコンセプトを支えてきた理論が今でも立派に通用することがわかった。なるほどゴードン・マーレーのクルマに対する流儀はシンプルだ。