フォード新CEO 「変革」目指し、駆け抜けた5カ月と描く未来とは インタビュー
公開 : 2017.11.12 17:10 更新 : 2017.12.14 12:31
重大な質問をしてみよう
「しかし、街並みのほうをスマートにするのは難しい。道路を建設したときには情報ネットワークなんて敷設されていないし、今さら誰も掘り起こしたりしないでしょう。でも、コネクティビティが解決してくれるんです」
進歩は継続的でなくてはいけません。会社の振る舞いをつねに深く考察してきたハケットはこういう。自らの昔の強みにこだわり続けるあまり、結局は失敗してしまう優良企業は多いんです。
「ポニー・エクスプレス(米国大陸の東西を馬で結んだ郵便速達サービスの会社。電信技術の普及により解散した)を例にとりましょう」と彼は言う。
「ポニーをすべて売却すべきだとCEOが提案したとしたら、取締役会は却下したと思いますよ。でも本当は売り払うべきだったんです」
重大な質問をしてみよう。
そうすると、フォードはクルマの製造を止めてしまうことになるのか?(少し心配だ。フォード・マスタングが大好きなので)
「ははは! クロプリー編集長、それは違いますよ」驚いてハケットは言う。「われわれの調査では、エンスージァスト(クルマ熱愛家)はクルマの動力源が変わっても減ったりしません。何も変わりはしませんよ」
だがやはり、とわたしは言いたい。
エンスージァストがこの新しい理論のクルマを好きになるには時間がかかりそうだと。ハケットもすぐに同意するが、ただし、という。
「ただし技術は市場の要求に応じたものでなくてはなりません。そして、まだまだ不十分です。しかし、基本は信頼関係を築くことなのです」
「技術はフォードの将来を約束するものだと明確に示すことです。振り返れば2008年、われわれは信頼を勝ち得たんですよ。たぶん皆さんが予期しなかったやり方で」