ポルシェ重役インタビュー「ミッションEのいま、EVの未来、911の今後」
公開 : 2017.11.11 18:10 更新 : 2017.11.11 18:16
ミッションEのさらに次のEVは?
800Vの急速充電システムにも対応しており、バッテリー容量の80%の充電に要する時間は15分。ポルシェはこの技術に関して日立と共同開発していることを認めており、ベルリンに最近オープンしたオフィスに、2台のDC800Vの急速充電器を整備し、テストを始めている。
急速充電に必要な時間が短いこともあり、ポルシェはミッションEに過剰な航続距離を持たせることは考えていないようだ。500kmを目標にしていると、シュタイナーは話していたが、不足ない距離だと思う。
距離を伸ばすにはバッテリーを増やす必要があり、重量も増加してしまう。航続距離は、充電時間を短くすることで補完が可能で、ポルシェは顧客とともに、最適な航続距離の設定を図っているところだという。
「日常的には短距離しか運転せず、たまに長距離ドライブをするようなひとの場合、航続距離と充電に要する時間のコストは、どの程度なのでしょう?」とシュタイナーは問う。
さらにポルシェは、リチウムイオン・バッテリーより軽量でコンパクトな、電解質が固形のソリッド・ステート・バッテリーの搭載も検討している。
このバッテリーは、EVスポーツカーの実現も十分可能な技術だが、量産までにはあと数年はかかる。プロトタイプのボクスターでテストを行った際、操縦性も良く、重量とラップタイムとの関係は明確だった。
スタイリングに関しては、ポルシェのデザイン責任者、ミヒャエル・マウアーが「美しいクルマです」と生産型のミッションEに対して表現している。
「EVは、デザイン上の可能性を大きくしてくれます。ただ今のところ、EVに必要なコンポーネントは大きすぎます。ボンネットから金属の塊のエンジンを外しても、バッテリーパックを積まないといけません」
「大きなエンジンが消えて、さらにバッテリーも十分に小さくなれば、デザイナーの自由度は増していくことになります」と、一般的なEVに関して彼は説明する。
ミッションEのさらに次のEVに関して、ポルシェはSUVを計画している。
シュタイナーは「ポルシェにとってもSUV人気はメリットがあります」と話すが、続けて、「わたしたちは、ブランドの中核に非常に近いモデルから、EV化の戦略を立てています」と語る。
「911とパナメーラの中間に位置する、非常にスポーティなクルマが誕生します。SUVセグメントが大きく成長していることは理解していますが、それに同調するのではなく、本当のポルシェらしいコンセプトの提示が必要なのです。われわれは、それが間もなくリリースする、ミッションEであると確信しています」とも。