ポルシェ重役インタビュー「ミッションEのいま、EVの未来、911の今後」
公開 : 2017.11.11 18:10 更新 : 2017.11.11 18:16
デザイン責任者ミヒャエル・マウアーへのQ&A
クルマのパッケージング全体を左右するエンジンが無くなることで、EVなら真っ白なカンバスにクルマをデザインできるという認識がある。しかし、ポルシェのデザイン責任者ミヒャエル・マウアーはそれを否定する。
「アーキテクチャを構成するパッケージングに関しては、確かに自由が生まれます。しかし、乗員の空間やラゲッジスペース、法規などの要素でアーキテクチャの70%が決まってしまっていて、デザイナーが自由にできる部分は30%程です」
パナメーラやカイエン、マカンなど、ポルシェが新しいセグメントのモデルを発表する際、臆することなくポルシェ911からインスピレーションを受けたスタイリングが与えられてきた。
ミッションEコンセプトでも、フロント周りではオリジナリティの高いスタイリングだが、サイドやリアに関しては、4シーター・4ドアのポルシェ911にも見える。EVとなっても、このスタイリングは受け継がれるのだろうか?
「純粋なスタイリング面では、内包する技術を視覚化させたデザイン言語で、表現しなければなりませんね。顧客の望みがわかる、水晶玉があれば良いのですが……」
「カイエンや911をデザインする際、新しいモデルとしてだけでなく、新しいポルシェだともわかる必要があります。またEVの場合、新技術の搭載が見てわかるように、新しいデザインを与えていく必要もあります」
「顧客は、新しいデザイン要素を自身で消化する時間が必要です。余りに未来を描いても、理解してもらえません。20〜30年先のデザインが、見慣れている範囲です」
「実際のマーケットでは、かなり先のデザインに挑戦している企業(BMW)もありますが、そうでない企業もあります。顧客は、クルマを愛してはいますが、それはブランド全体を含めてのこと。多くのひとが、EVのポルシェを美しいと感じて購入していただくと思いますが、それはポルシェ・ブランドだからでもあります。EVであると同時に、ポルシェだと認知できなければなりません。そのバランスが重要なのです」