韓国の下克上? キア・スティンガー、BMW/ジャガーに勝負 前編
公開 : 2017.11.12 11:40 更新 : 2021.03.05 21:36
BMW、ジャガーに……キア? まさにこれが、この韓国メーカーが新しいおよそ600万円のパフォーマンス・セダンで思い描いている状況です。スティンガーGT-Sがその役に相応しいかどうかを探ります。
もくじ
ー そもそもキアは、戦えるのか?
ー 装備で勝負 価格もライバルを揺さぶる
ー 「感じるのはスリルよりも満足である」
そもそもキアは、戦えるのか?
エストリル・ブルーに塗られた美しいBMWのキャビンからでさえ、われわれのこのコンボイの先頭を行くクルマに目が行ってしまう。
それはこのクルマがもつ、奇妙なほどアルファ・コンペティツィオーネ・レッドに似た豊かな色合いのせいなのか、妙に控えめな4本出しエグゾーストのためか、それとも、その豊かなリア・フォルムの流れが、ファストバックや美しいカムテールをほうふつとさせるからなのかはわからない。
すべてはもっと近づいての観察が必要だろう。
あるいは、この曇り空に覆われた平日の朝、M4道路を西へと向かうわれわれ以外のひとびとも含め、トランクに貼られたバッジの正しい読み方を考えているだけなのかも知れない。「キア」というのだ。
これまでの秩序を打ち壊すべく、華々しいスペックとともに登場したスティンガーGT-Sについてはご存知だろう。予想よりもできが良いとも聞いているかも知れない。率直にいってシャシーは活気に溢れている。
では、ドライバーズカーとして、BMW 440i MスポーツやジャガーXE-Sの代わりになるほど素晴らしいのだろうか?
しばらくするとスティンガーの重量感のあるキーがまわってきた。クルマに乗り込んで最も驚かされるのはその高級な仕立てのキャビンではない。
アウディ調のシフトレバーが設置された高く幅の広いトランスミッション・トンネルでもなければ、メルセデスのような船窓形状をしたエア・ベントでも、BMWに似たダッシュボード上のインフォテインメント・システムでもない。