韓国の下克上? キア・スティンガー、BMW/ジャガーに勝負 前編
公開 : 2017.11.12 11:40 更新 : 2021.03.05 21:36
「感じるのはスリルよりも満足である」
正直に言えば差はある。忌々しい速度監視カメラをこえたところで、われわれの車列をウェスト・バークシャーの道に放てば、このキアは魅力的なアクションとグリップを昔ながらのマナーで披露してくれた。
255サイズのリアタイヤはこのクルマのボディの下では弱々しく見えたが、実際にはこの控えめなサイズ選択はわれわれにとって幸いだった。つまり、このクルマがリア駆動であることを明確に感じることができたのだ。
当然ながら小雨の中では、常にアクセルを踏み込むような運転は全く意味をなさない。まるで滑りやすい路面だけでは満足できないかのように、このエンジンはわずか1300rpmからその最大トルクを発生する。
しかしそれだけのクルマではない。
視線を前方へと向けて、スポーツ・モードでもややソフトなサスペンションを使ってタイヤをコントロールしながらコーナーを攻める。慎重にこのクルマの鼻先を誘導しつつ、この瞬間をできる限り長く楽しむのだ。
感じるのはスリルよりも満足であり、このクルマは少しの慎重さがあれば楽しむことができる。
セッティング自体はベースとなったヒュンダイ・ジェネシス譲りである。ステアリングは滑らかだが最もダイレクトな種類ではなく、ボディ・コントロールも今回のような路面状況では、積極的な運転も許容できると表現した方が適切だろう。
このような運転をした場合、操作に追従できる限りは、スティンガーは正確な反応でコミュニケーションを楽しませてくれる。これは1780kgという重量を考えれば安心できる要素だが、最終的にはその重量を感じないわけにはいかない。
ペースが上がるにつれボディの動きが遅れだし、ボディ両端に積まれた重量物を意識させられる。もしアクセルでコントロールしたいなら、予測可能な状況下でLSDがその効果を発揮している限り、これは挑戦し甲斐のある課題と言えるが、ブレンボの強力なブレーキングに頼ってコーナーへ進入する場合、フロント・サスペンションへの負荷の掛け過ぎに注意する必要がある。限界性能はさておき、これがこのクルマの英国デビューである。
では、迎え撃つ側はどうなのだろうか?(後編につづく)