韓国の下克上? キア・スティンガー、BMW/ジャガーに勝負 後編
公開 : 2017.11.12 18:40 更新 : 2021.03.05 21:36
440iの優先順位、他2台とは異なる
当初4ドアのグラン・クーペモデルをこのテストに参加させるつもりだったが、60kg軽量なクーペモデルしか準備できなかった。
驚くべきことに、この難しい道でより固めた脚を持つMスポーツ仕様の440iよりも速かったのはスティンガーだったが、素晴らしい柔軟性を示す一方で、ステアリング操作には一定の力を必要とした。さらにその太めの握りをもつステアリングのグリップが手の中でよじれる傾向もあった。
M4に入るまえにBMWに乗り換えてみると、このクルマはスポーツ・サルーンとしてキアとは対極の存在であることがわかった。路面がありのままにより近く感じられる。その対価はクルマとの繋がりだ。
2017年、BMWはサスペンション・ジオメトリー、ダンパー減衰率、アンチ・ロール・バーとステアリングの見直しを行ったが、すべてはより鋭いダイナミクスとフィードバック向上のためだった。
440iの優先順位は他の2台とは完全に異なる。
特にスティンガーとは対照的に、常にフラットな姿勢を求めるものだ。ステアリングが伝える路面感覚は控えめだが、コーナーでは素晴らしい重みが加わり、フロントがしっかり路面をつかむと、ジャガーでしか太刀打ちできない自信がわき上がる。
この2台は新たな挑戦者よりも高いレベルに到達している。BMWの327psツインターボ・ストレート6も素晴らしいエンジンであり、しかも速い。なめらかな出力特性は小気味良い変速の8速ATとほとんど感じることのないターボ・ラグによってより強調される。
このライトブルーのクルマの魅力に惹きつけられれば、キアを選択するのが難しいことに気付くだろう。同様に、潜在的なスティンガーの顧客は、乗り心地に劣り、柔軟性に欠けるライバルに大金など払わないだろう。
となれば、勝者はおのずと見えてくる。