韓国の下克上? キア・スティンガー、BMW/ジャガーに勝負 後編

公開 : 2017.11.12 18:40  更新 : 2021.03.05 21:36

番外編 グランド・ツアラーの名にふさわしく

GTの名はこれまで度々汚されてきた。それはなにもキアだけではない。キア・プロシードGTはフェラーリ575マラネロのように大陸横断旅行向きとされたが実際には新聞配達用だった。しかし、スティンガーは違う。このクルマは折り紙付きだ。

バルセロナから自宅へ向けてこのクルマを走らせていると、自信をもってそう言える。英国のB級路ではBMWに対する弱点となったキアの車重、車幅とよりリラックスできるサスペンション・セッティングは、このクルマをスピードに対する安心感を伴った快適な長距離クルーザーに変える。

キャビンのつくりも、しっかりとしたコシのあるシートに快適に低く座ることができるものだ。そして前方視界を諦める必要もない。スポーツ+モードでも十分心地よく、680kmを1日で走破したあとでも、中世のオーベルジュが軒を連ねるエリアの枯れ葉が積もる道でスティンガーを自由に走らせることができる。

もちろん、スティンガーのGTとしての能力を裏打ちするのはフロント・アクスルの直ぐ後ろに置かれる3342cc V6エンジンである。低回転から最大トルクを発生するため、変速の速さを誇る必要もなく、8段ATの高めのギアで安楽に進む事ができる。

エンジンの音も抑えられている。時には残念に感じることもあるが、外側車線を走行している場合には周囲を気遣う必要がない。

小さな不満もある。アダプティブ・クルーズ・コントロールの感度が敏感過ぎて、大型車両を通過しようとしたときに、突然速度が50km/hにまで落ちるような事がある。

そして速度を上げたときのツイン・ターボ・エンジンの燃費も褒められたものではない。フランスのオートルートでは何とか9km/ℓ台に達する程度であり、60ℓのタンク容量を考えれば、その航続距離は550kmほどに留まる。

その他については、スティンガーはグランド・ツアラーとしておおむね満足できる仕上がりであり、このカテゴリーの多くのライバルたちを凌ぐ。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

人気記事