ポルシェ、なぜ価値が高まる? 911 RやRS、GTシリーズを例に
公開 : 2017.11.19 15:10
ナナサン・カレラ人気、4つの理由 不遇のモデルも
第1に、このモデルが真のホモロゲーション・モデルであることがあげられる。第2に、213ps 2.7ℓエンジンと、様々な軽量化策、更には見事に調整されたシャシーがもたらす素晴らしいドライビング。
第3に、このクルマは依然としてオーナーが真剣に走らせてみたいと思うに十分なマナーを備えていた。単なる気晴らし用のオモチャではなかったのだ。そして最後に、その特徴的な小さくけり上がったダック・テールだ。極めて美しい。では、その評判ほどに素晴らしかったのだろうか?
これは偉大な911の1台であり、稀にみるその技術の証しではある。しかし、その素晴らしさゆえの象徴性と、その評判が示すものとは別の話である。
対照的に、1988年のクラブ・スポーツは不当に評価されたままのモデルだろう。レースの為に作られたわけではなく、それほどコストも掛けられなかったし(実際、ベースとなったカレラよりも安価だった)、ノーマル車両と外観上の違いは殆ど無かった。
しかし、実際には賢明な選択によるアップグレードが行われ、完全に運転好きのドライバーのためだけに開発されたモデルだ。
ほとんど使い道の無いリア・シートや、パワー・ウィンドウ、サン・ルーフ、集中ドア・ロック、その他を取り去ることで50kgの軽量化を行った。
パワーは一切増えていないが、エンジンには新たなECUが組み込まれ、レッド・ゾーンが引き上げられると共に、一説にはベストのエンジンだけが使われた。
変更されたダンパーや標準装備のLSD、固められたエンジン・マウントも見た目は全くノーマルと見分けが付かなかった。
その結果はこれみよがしなものでなく、単に最適化されたという程度にとどまったが、ここにあのカレラと同じくらいに素晴らしい出自をもつ、真の傑作が誕生したのである。