ゼンヴォTS1 GTに試乗 1180psでパガーニなどと争う 1億7900万円の価値は?
公開 : 2017.11.13 18:40 更新 : 2017.11.13 22:02
現状は半分の出力 ただし「怪物」
ゼンヴォの宣伝用パンフではこのクルマをハイパーGTと呼んでいる。想像するに、長距離をラグジュアリーで快適に走れるクルマとして開発されたのだろう。
バッキンガムシャーのスーパー・べロス・レーシング(最初のゼンヴォ・ディーラー)近くの、でこぼこしたB級道路では、乗り心地は硬く落ち着きがないが、法外に硬いわけでもない。
つねに落ち着きがない乗り心地を別にすると、シャシーはおおむねフラットでバランスもいい。ボディ・コントロールもしっかりしており、路面のいなし方も上手だ。
油圧式のステアリングもすごく良い。センター付近ではちょっとあいまいで生気がないが、そこを過ぎればとてもダイレクトで手応えもレスポンスも自然である。
がっちりしたフロントのグリップは頼りがいがあり、もっと小さいスポーツカーのようだ。コーナリングのバランスも優れており、大パワー、大トルクにもかかわらずトラクションもしっかりしている。
400psほどデチューンされてはいるものの、エンジンは全くの怪物だ。ターボチャージャーではないためスロットル・レスポンスは鋭く、豊かな重低音を奏でる。
一方、素直でリニアな出力特性はまったく病みつきになりそうだし、アクセルを踏み込めば電気モーターさながら、狂気をはらんで7700rpmのレッドゾーンまで一気に駆け上がる。さらにパワーが1.5倍になったら一体どうなるのか、神のみぞ知る。恐ろしいことだろう。
ギアボックスは当分の間、辛抱しなければならない。高回転領域でのシフトはクイックで小気味いいが、その他の領域ではギクシャクしている。ハーフ・スロットルでシフトアップした時のイグニッション・カットは唐突なので、右パドルを引くとブレーキ・ペダルを蹴っ飛ばしたようになる。