アウディR8 V10 プラス ウラカンと異なる独自性を築く 試乗記
公開 : 2017.11.15 11:55 更新 : 2017.11.15 12:38
どんな感じ?
自然吸気V10と「屋根あき」の魔力
この華やかなロードスターに関して、周囲の目を気にするタイプのひとは否定するかもしれないが、わたしは、魅力に溢れていると主張したい。
わずか44kgのファブリック製ルーフを下ろし、オプションのスポーツ・エグゾーストをダイナミック・モードに切り替える。
右足をペダルに乗せれば、シリーズ生産されるエンジンが8700rpmに達する度に放つ、耳をつんざくノイズに、無意識のうちに浸っているはずだ。
右足から力を抜いた瞬間、あたかも当然のようにエンジンからエグゾーストマニフォールドへガソリンが吐き出される。パパッと退廃的に弾けるアフターファイヤーに少し気が引けつつも、思わず笑顔がこぼれてしまう。
R8スパイダーV10プラスの特出した排気音に、絶え間ないエンジンの機械音が重なり、気分が高揚する。余裕がある排気量のおかげで、回転数を問わず、強力なピックアップを楽々と披露する。
予想通り、アウディの7速デュアルクラッチのSトロニック・トランスミッションは、パドルを弾く度に、たとえ何速か飛ばしても、キビキビと変速する。もう少しギアが噛み合う時のアクションがあっても良いと思うほどだ。
オートマティック・モードももちろん残されており、予期しないような追い越しのタイミングでも、予期していたかのようにシフトダウンしてくれる。エンジン回転の遅れも全く無い。エンジンとギアとの、極上の組み合わせだ。
ターボ加給されるライバルたちと異なり、頑固にも自然吸気にこだわって、オープントップによってその存在が近くなったドライサンプのV10プラスエンジンだけでも、このクルマの購入動機には十分なり得る。
エンスージァストにとっては、大排気量自然吸気エンジンの存在が希少になりつつある今、この存在感は大きいはずだ。
では、ライバルとはどう違うのだろう?