新型ポルシェ・カイエン・ターボ試乗記 マカンある今、立ち位置に変化
公開 : 2017.11.16 12:10 更新 : 2017.11.16 12:43
4輪それぞれの動きがアクティブに
このクルマは猛然と速く、そのことが今まで以上にこのクルマのキャラクターを位置づけている。個人的な経験からいうと、重量級のクルマを途方もない速度で加速する際に、これほどまでに身体的試練を求められるクルマは、ベンテイガ以外にない。
デュアル・クラッチ変速機が不在でも、それは変わらない。新しいZF製の出来はとても良く、停止の状態から、あなたが解釈する法定速度に達するまで、全くもってスムーズでショックのない変速を実現している。
直線だけで速いのではない。重量級の高出力SUVの問題点は、直線でのパフォーマンスと、コーナリングにおけるそれとが、他のクルマと比べた時、その差が大きいということである。
つまり、ドライバーは、常に格闘を強いられ、スピードの起伏が顕著である。これは、パッセンジャーにとっても気持ちのいいものではない。
しかし、ライバル達と比べて、カイエンはこの傾向が希薄である。なぜなら、経験上からそうではないと思っても、このクルマは巧みにグリップの居所を認識することができるからである。通常、そのスタビリティは、車体コントロールによってもたらされ、このクルマ以上に優れたクルマに乗った経験はない。
3つのチャンバーを持つエア・スプリングとアクティブ・アンチ・ロールバーの組み合わせは、このクルマの質量をばかげたほどに上手く制御している。ハードなモードに切り替えれば、4輪が今まで以上に働いていることを感じるだろう。
それは、無謀にスピードを加え、アンダーステアや危険な状態を察知し、スタビリティ・コントロールの介入を誘発する乱暴なものではなく、有り余るほどのトルクを各駆動輪に適切に配分することで、コーナリング性能を高めることに成功しているのである。
ただ、2トン以上もあるカイエンを、すべての使用環境で、驚くほど速く走らせることを担保するために、副作用も誘発している。