絶滅危惧種「V型10気筒エンジン」 その魅力とは?
公開 : 2017.11.18 11:40
V10 一筋縄ではなかったツラい歴史
片バンクに5本という、奇数のシリンダーへ燃料を均等に供給する方法はふたつある。ひとつ目は、シングルキャブレターを用いる方法だが、酷く効率が悪い。
ふたつ目は、キャブレターを5つ付ける方法だが、調整が非常に困難だった。燃料噴射が一般的になることで、ようやくこの問題が解決し、1976年にアウディ100へ直列5気筒エンジンが搭載された。
5気筒のガソリンエンジンの技術が確立すれば、気筒数を倍の10にするのも難しくはない。
V10エンジンは市販車へ搭載される以前に、F1への参戦を目的として、ホンダとルノーの2社が開発する。
1989年シーズンからターボが禁止されると、3.5ℓの排気量規制に最適な気筒数は、10だということを、この2社とアルファ・ロメオは考えた。
これは、2006年のレギュレーション変更まで、V10エンジンのマシンが優勝を重ね、コンストラクターズ・タイトルも獲得してきた経緯を振り返ると、的を得ていた。
そのため、1992年にダッジ・バイパーがV10をフロントに搭載して以降、V10エンジン搭載車がリリースされてきた理由は、マーケティングによるものだった。
ステアリングのパドルシフトのように、F1マシンに搭載されているものは、強力なセールスポイントになったのだ。
しかしながら、モータースポーツからの動機付けは、今のクルマでは少なくなってしまった。モータースポーツとの結びつきは、ごく一般のひとにも通じるアピールポイントだると思うので、残念なことだと思う。