絶滅危惧種「V型10気筒エンジン」 その魅力とは?
公開 : 2017.11.18 11:40
V10に乾杯 「ありがとう」と伝えたい
さて、ウラカンのスパルタンな味付けのインテリアに包まれながら、攻めた走りを楽しむというより、血が騒ぐような、エンジンノイズを聞きたい、と感じていることに気づいた。
V10エンジンは、このランボルギーニに新しい次元の楽しみを加えている。
V8を積むフェラーリ488GTBやマクラーレン720Sは、どちらも優れたクルマだが、トンネルの度に窓を開けて、ギアを落とし、響き渡るエンジン音を楽しむだろうか?
したとしても、耳鳴りに残るような叫びとは異なる体験だろう。
V10にこだわったランボルギーニの、実際にはアウディの、方針を高く評価したい。同じ意味で、油圧パワーステアリングを引続き採用したマクラーレンも、高く評価できる。
おかげで、よりダイレクトなドライブを楽しむことができるし、それは最も優先されるべき要素だと思う。そもそも、データ上でのCO2排出量が少ないという理由で、ランボルギーニではなく、フェラーリやマクラーレンを購入するひとなどいないだろう。
アウディR8が、いずれターボエンジンを積むことはわかっている。フォルクスワーゲン・グループは、顧客が未だ知らないような、高機能でコストカット可能な手段を探し続けている。
V10エンジンの生産ラインは、間もなく別のものに置き換わるはずだ。収益ばかりに気にかけているドイツ・ヴォルフスブルクの経営者の中では、既にV10エンジンはお役御免の存在で、それは避けられないことだろう。
そうだとしても、ウラカンから降りて原稿を書いている今、V10のサウンドが頭のなかでこだましている。V10が存在した時代にいて、本当に幸せだと思った。