ハイパフォーマンス・ワゴン対決  M5 vs RS4 vs E63 AMG 後編

公開 : 2017.11.19 16:40

AUTOCAR JAPAN誌50号から再録したハイパーワゴン対決、いよいよ決着です。圧巻のV10を引っさげてカテゴリーに殴り込んだM5ツーリングは、王道のE63ステーションワゴンと、最終兵器・クワトロ4WDを擁するRS4アバントを向こうに回し、王座を奪取できるのでしょうか?

もくじ

前編
高性能クラスのリーダー、ついに動く
最大514ps、最小420ps
高性能と高機能
ワゴンに乗っているのを忘れる走り

後編
ウェットで絶大な4WDの優位性
積載状態でタイムアタック
速さか、広さか、それとも…
番外編・伏兵現る

ウェットで絶大な4WDの優位性

この2台にRS4はどう割って入るのか? とりあえず単純加速では遅れを取ったものの、それくらいの差は現実の路上じゃほとんど関係ない。RS4だって凄まじく速いクルマだ。

コイツはそれまでの高性能アウディにあったよろしくない伝統を完全に破壊することに成功した。すなわち加速はキョーレツだけど突出しているのはそれだけ……みたいなことは全然なくて、本当にロードカーとしてのバランスが取れている。

具体的にはこうだ。ステアリングはM5と同じくらいダイレクトで正確。乗り心地ではわずかに勝ち。それとこのクルマを公道上で不安定にすることができるドライバーがいたとしたら、その人はある意味天才。

それくらいRS4は安定している。つまりM5と完璧に対等なハンドリングを備えたアウディなわけで、それはひと世代前なら考えられなかったことだ。  

そして、以上のことは全部ドライ路面での話だというのを忘れてはいけない。ウエットのアスファルトの上なら、残る2台がRS4に追いつける可能性は限りなくゼロだ。

そんなわけで、RS4が80年代前半から続くアウディ製4WDのなかで最高にバランスがよくて、最高にアンダーステアが出ないクルマだっていうのは認める。

だけど、RS4の4WDが後輪重視だなんていうアウディの発言は信じない。リアが勝手に出たり、または振り出して楽しいクルマでは絶対にないから。  

ワゴンとしてネガティブなのは車内空間。RS6が出るまではこのクルマがアウディのラインナップのなかでいちばん大きいワゴンだったはずなのに、ほかの2台に比べると、というか比べる気にならないくらいの空間しかない。

狭くて短くてキャビン全体もこぢんまりしている。M5はその反対。リアウィンドウが傾斜しているから中に収まるのがラブラドル・レトリバーあたりだと頭回りが少々窮屈かもしれないけれど、これ以上の大きさが欲しい家族はたぶん少ない。

少ないながらもそういう家族がいたとしたらE63を勧める。  

E63と比べてしまうと、ほかの2台は使いやすさとキャパシティはハッチバック並みでしかない。ワゴンではなく。今回のクルマにはヘンテコな傘立てがついていてそれが少なからず場所を取っていたけれど、Eクラスはとにかく広大だ。

さらにリアシートもワゴンらしさバッチリな感じで、座面のクッションを起こしてシートバックを倒すダブルフォールド式になっているのはE63だけだった。

ほかのはシートバックが倒れるだけで、本当の意味でのフルフラットにはならない。ついでに言うとE63は後席のレッグスペースも広い。

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