ジャガーE-PACE 初試乗 まずは2ℓ直4ガソリンから 独特な使命とは?
公開 : 2017.11.22 12:30 更新 : 2017.11.22 12:30
どんな感じ?
乗り心地とコーナリングの葛藤
乗り込めば、恐らく誰でも極めて快適だと感じるはず。
車両後方には577ℓもの広さの荷室がある。ステアリングホイールの位置調整しろも大きく、ロック・トゥ・ロックは約2.5回転で、他のジャガー車にもれず、スムーズに転回する。
走り出してみると、ZF社製の9速ATは、同社の8速ATほどスムーズではない印象。
どちらかというと、デュアルクラッチ・トランスミッションのような振る舞いだ。ブレーキを離した時の、クリープ走行も不足気味。この車格にしては大きすぎる20インチ・アルミのせいもあり、乗り心地には少し不安定なところもある。
発進してから50mほどの走行は、クルマの第一印象を決めるものだが、ジャガー車は幼馴染みのような親しみやすさを覚えることが多い。しかし、このクルマの場合は知り合い程度のような、少し距離感を感じてしまった。
ある程度スピードに乗れば、乗り心地は良くなってくるのだが、車高の高いSUVで感じがちな、ある種の妥協を感じざるを得ない。E-PACEはだいぶ良い部類だとはいえ、背の高いクルマでダイナミクスを求めることの難しさに、気づくだろう。
車高を高くすれば、自ずとロールセンターと重心高が高くなり、コーナーでのロールが大きくなる。そこでアンチロールバー(スタビライザー)を硬くすることでロールを小さくするのだが、乗り心地に影響が出てくるのだ。
この点は、E-PACEの場合、追って選択が可能となるアダプティブ・ダンパーを装備することで改善できるだろう。しかし、そもそも重たいクルマに、さらに重量を増やすことにつながってしまうのだが。
ただし、ジャガーE-PACEに乗る体験が素晴らしいことに変わりはない。このクラスではベストといえるスタイリングで、ダイナミクス性能はさほど重視されないクラスとはいえ、運転自体も楽しい。購入動機を作るには不足ない。
実際のところ、E-PACEは十分に納得できる仕上がりだといえる。あまり冴えない褒め方になってしまうのも意図とは違うのだが、1.65mの車高と4.4mの全長を持つクルマで、ジャガーXEの様な運動性能を求めるのは、少し酷なことだからだ。
乗り心地の一方で、ドライビングは間違いなく納得できるものだ。