比較試乗 アストン マーティンV8ヴァンテージ vs ポルシェ911(997) 後編

公開 : 2017.11.23 15:40

後編です。アストン マーティンV8ヴァンテージ vs ポルシェ911(997)。どのような締めくくりとなるでしょうか? AUTOCAR JAPAN誌29号を振り返りませんか?

AUTOCAR JAPAN誌 29号

もくじ

前編
911はベンチマークではない
考え得る「必要最小限のクルマ」
911ミーツV8ヴァンテージ
まるでドイツ生まれのように
911と明らかに違うところ

後編
ついにV8ヴァンテージが走り出す
「わたしはこの道が大好きなんです」
V8ヴァンテージにしかできないこと
ひとつだけ断言できること

ついにV8ヴァンテージが走り出す

仕立てのいい革張りのシートはDB9用のものと基本こそ同じだが、V8ヴァンテージのキャラクターに合わせてクッションはところどころ少し硬めになっている。

ベッツが、親指でスターターボタンを押すと、ハイチューンのV8エンジンは軽く身震いして、低い唸り声とともに目覚めた。キャビンに居て感じるのはポルシェ911とはまったく違う世界だが、感動的な瞬間であることには変わりない。

ベッツはスタートしてしばらくの間、V8ヴァンテージをのんびりと走らせた。そして、その時点でわたしはあまりに乗り心地がフラットなことに驚いていた。

ついさっき同じ道を911で走ってきただけにその違いはよくわかる。サスペンションはダンピングがよく効いていて、スピードを上げるにつれ、それが完璧に制御されている事実が明らかになる。

水温計の針が真ん中あたりで安定すると、ベッツは徐々にペースを上げていった。それにしても、このクルマのハンドリングのなんとバランスのいいことか。わたしはすぐにそれが49対51というの重量配分によるものだと気づいた。

V8ヴァンテージの着座位置はかなり後ろ(真横から見ると後ろ側3分の2くらいの場所)にある。ちなみに911だとちょうど中央のあたりだ。これはアストンがポルシェとはまったく別のアプローチでV8ヴァンテージを造った証拠のひとつだろう。

われわれが乗ったV8ヴァンテージは、ついにゲイドン工場から外に出ようとしていた。ベッツはすでにV8にムチを入れており、門番たちを驚かせながら、他のアストンV12と同様にエンジンの唸りが5000rpmあたりから堂々たる咆哮へと変わるさまを実演してくれた。

ロータリーを右折し、ギアをシフトアップする。乗り心地は固めだがしなやかで、ロードノイズは許容範囲内(ポルシェ伝統の騒音とは比べ物にならない)。

風切り音は前方からルーフ上を抜けていくように巧く制御されているようだ。シートもほどよく引き締まった見事な座り心地で、サイドサポートも文句のない仕事をしてくれる。

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