ミニ vs フィアット500 新車時の評価は? 比較試乗 前編
公開 : 2017.11.23 06:10
ファッションの虜がまた1台
オリーブ色に日焼けした若いカップルが顔と顔をくっつけてイチャついたらコーヒーをこぼしちゃって……なんてのは別にいいとして、僕らは今、ミニおよびフィアットを駐車してそれらを眺めている。
より正確には、街ゆくひとびとがその2台のまわりにギッシリ集まってる状況を観察している。
ラッパーのPVに出てくるSUVや無駄にゴージャスなクルマがすっかり幅を利かせてる昨今、この光景にはすごくホッとさせられる。心強い。
両方合わせてもハマーH2のオルタネーターを回す程度のパワーすらないような2台が、大勢の人間を気もそぞろ状態にさせている。
彼らはそれこそ、クルマのまわりを取り囲むだけでは飽き足らずクルマの上までも取り囲んでしまっている。こうでこそイタリア、というべきか。あるいは、皆さんパルチザンの一団かなにかなのかもしれない。
でも、ミニはシカトされちゃっている。500の中身がナンだとか乗るとどうかとか各部の感触や手応えがどうだとかウンヌンする前に、まずもって僕らはここのところの重要性をこそ直視すべきだと思う。たぶん。
なんとなれば、この2台はジュエリーみたいな存在だから。もともとは労働者階級に強くアピールしたことで有名になったシルエットを恥知らずにも剽窃してそのコア・バリュー(今回のケースで言うならスペース効率の高さと値段の安さ)を保ちながら洗練度を高めることで大人気アイドルとなりおおせたクルマ×2だから。
敬意を表する対象にしようとしたクルマの、実はカリカチュアになっている。ミニも500も。