フェラーリ430スクーデリア vs ポルシェ911GT2 新車時の評価は? 前編
公開 : 2017.12.02 11:40 更新 : 2017.12.02 11:47
430スクーデリア フェラーリの「ショーケース」
フェラーリによると、430スクーデリアは1250kg。ベースのF430比でまるまる200kgも軽くなっている。
ありとあらゆる受動および能動の安全装備が付いたエンジン排気量4.3ℓのスポーツカーにしてこれ、というのはすごい……と思ってスペック表を見たら1250kgは乾燥重量。フルード類を入れた状態だと1350kg。それでもまだ100kg軽い。
上出来。軽量化策には大きく3種類あって、まずひとつ目はよく気がつきましたで賞の軽量化(カーペット省略)。
ふたつ目はめちゃめちゃコーフンするで賞の軽量化(チタニウムのスプリングおよびホイールナット)。
そして3つ目はやっぱそうきましたか賞(そこらじゅうに使われているカーボンファイバーのボディパーツと樹脂のリアウインドウ)。
しかしながら、フェラーリにとって430スクーデリアはただ軽量なバージョンというだけの存在ではない。ではナニかというと、ショーケース。過去10年に渡って彼らがF1活動で培ってきたテクノロジーの。F1の世界から一般ワールドへのテクノロジーのトランスファー。
しかもリアルで意味あるヤツ。そういうものの実例としては、今までだったらせいぜいキミ・ライコネンのモーターホームがあるくらいだった。見るからにカーボン・ベリリウムでウォッカどくどくで、みたいなアレ。
要はないに等しかったわけだけど、状況は変わった。いや変わろうとしている。ジェネのデモンストレーションラップのデータに基づくグラフを眺めるとそのことがハッキリわかる。
コーナー脱出時、彼は普通なら明らかに早すぎるタイミングでサッサとスロットルを全開にしている。電子制御デフとトラクション・コントロールが上手いことトラクション最大の加速をやってくれるから、ドライバーはただベタ踏みして待っているだけでいい。
もっというと、進入のラインもコンピュータが最適化してくれる。ギコチない介入など全然なし。突然スロットルがカットされちゃうこともまったくなし。あるのはアッという間に行われるキメ細かいアジャストメントだけ。
そういうテクノロジーのキャラをハッキリ立たせるために、まるで80年代末期に日本のメーカーが使ったような手法をフェラーリは採用するにいたった。