フェラーリ430スクーデリア vs ポルシェ911GT2 新車時の評価は? 前編

公開 : 2017.12.02 11:40  更新 : 2017.12.02 11:47

「目的はただひとつ 速く走ること」

要はネーミングなんだけど、電子制御デフがEデフ(E-Diff)でトラクション・コントロールがF1トラック(F1-Trac)っていうのはちょっとこっぱずかしい。

ちなみにEデフはF430から、F1トラックは599から持ってきたもので、430スクーデリアへの採用にあたっては、個々に手直しが入っているだけでなく両方が互いに上手く連携プレーで動けるよう教え込まれてもいる。

今回の仕事は全体のなかでそのへんがいちばん大変なところだったとエンジニアのひとは言っている。

なるほどそれはそうだったかもしれない。でも、だったらどうしてあとホンのちょっと時間かけて仕事してくれなかったか。というのは、このクルマのエンジンをかけるためにはわざわざステアリングホイールの向こう側の穴を探してそこへにキーを差し込んでさらにボタンも押して……。

しまいにはクランクシャフトに直結したハンドルをグイッと回せとか言われるんじゃないかと思った。やってらんない。F1テクノロジーを導入するのと比べたら、エンジン始動時の作業をイッキに簡略化することなんて朝飯前だと思うけど。ほんとめんどくさい。

でも幸いなことに、ギミックくさいのはそこまで。ほかの部分は、ステアリングホイール中央右寄りのところにあるマネッティーノの菱形ダイヤルからカーボンファイバーのセンターコンソール上でチカチカ点滅してるスイッチにいたるまで全部バッチリ意味がある。

目的はただひとつ。速く走ること。いかにもエレクトロっぽくカンペキなスロットル制御でもってエンジンがガオッと目覚め、でもって辛抱たまんない感じの出し抜けにキョーレツな排気音。排気管内にはバルブを使ったひと工夫あり。やかましいといえばそうだけど、以前ここで乗った360チャレンジ・ストラダーレほどではない。

僕としては、この音はオッケー。でもリスキーといえばリスキー。なぜって英国のサーキットを走れないかもしないから。騒音規制をパスできなくて。599みたいなクルマならこれはそんなに重大な問題ではないかもしれないけど、でもこれの場合はちょっと。

言うまでもなく、サーキットを上手いこと走れるようにわざわざ作られたクルマだから。この感じだと、トラックデイに430スクーデリアを持ち込んでコースを走れるサーキットはあんまりないかもしれない。どうやらフェラーリはなんらかの解決策を導入してくれてるみたいだけど。

ではさて公道試乗。

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