フェラーリ430スクーデリア vs ポルシェ911GT2 新車時の評価は? 後編
公開 : 2017.12.03 10:10
997GT2、ほとんど文句なしの成功作
ノイズ関係はあまり強烈とはいえない。チタニウムのエグゾーストが多少とも彩りを添えてくれてはいるけど、なにしろターボだから。シャープな吸気音を望む余地なんてないから。ポルシェがこのクルマをいわばGT3のターボ版みたいなものにするべく賢明に仕事をしたのはすごくハッキリわかるけど、でもいくつかの点で限界がある。
まず、ターボラグ。それをなくすべくポルシェはめちゃくちゃ頑張った ──実際GT2はターボが付いてるとはわからないくらいレスポンシブだ── けど、依然としてスロットルの動きと加速とのあいだにわずかな待ちが入る。
なので、自然吸気エンジンのクルマだったらコーナーのエイペックスで初めて踏み込んでちょうどいいけどGT2の場合それだとちょっとズレる。予測コミのドライビングをしないといけない。スロットルを前もってちょっと開け気味にして準備万端にしておいて、それからワイドオープン。
GT2は従来、電子制御のトラクション・デバイスも、同じくスタビリティ・デバイスもなしだったけど、今回初めて付いた。で、そのことによってアピールがガンと拡がった。今やチョイ濡れ路面でもハードにトバせる。
ちょっと踏み込むと簡単にクルマの姿勢が乱れてそこにガガッと強烈な制御が入って、みたいなのたうちまわり走行にはならない。狙ったとおりのラインに沿ってドライブできる。デバイスの介入ぶりはごく上品にして控え目。でも、それが与えてくれる安心感はググッと心強い。
なお、GT2には今回、ローンチ・コントロールの機能が付いている。介入ぶりはいささか控え目のハンタイだけど、その代わり必要であればいつでもものすごいダッシュをすることができる。0-100km/h3.7秒の加速が手に入る。
ドライ路面でのトラクションはエクセレントの一語(カラッカラに乾いたのアスファルト上で325セクションのリアタイヤを鳴かせる余地はそれでもまだ残っている)。
専用品のミシュラン・パイロット・スポーツ・カップのデキは、996のGT2に着いてた頃のパイロット・スポーツと比べたらはるかにベター。カーボンのバケットシートはその背後の空間に荷物を積むときは背もたれを倒すことができるタイプで、これまたエクセレント。
そういうわけで、997GT2はほとんど文句なしの成功作。