718ボクスターGTS試乗 365ps/PDK シャシーチューンの評価は?
公開 : 2017.12.05 18:10 更新 : 2017.12.05 18:51
どんな感じ?
「どんなクルマと比較してもベスト」
キーを回してエンジンに火を入れずとも、このクルマを好ましく思えるポイントは数多い。少なくともドライビングポジションは、どんなクルマと比較してもベストだと言え、座って身体に合わせただけで、走らずともスポーティなフィーリングが得られる。
走り出すと、リアミドに積まれたGTS専用ユニットに落ち度を見つけることはほとんどない。市街地で使用する低回転域でもレスポンスは素晴らしく、中回転域では驚くほどフレキシブル。思い切りスロットルを開けられるシチュエーションでは、惚れ惚れするような勢いでレッドラインめがけて回転が上がっていく。リニアなパワーデリバリーや高い出力もさることながら、トルクが厚みを増して、引き出しやすいことが利いている。
しかし、問題がないというわけではない。とくに看過できないのが、小排気量4気筒のサウンドだ。なんというか、早い話ガッカリした。フラットで押し殺されたトーンで、鞭を入れても低くしゃがれた音から変化せず、どう頑張っても6気筒のように轟くことはない。ドライビングモードをいろいろと変えてみても、平凡極まりない音が改善されることはないので、数々の美点すら、その一点によって曇ってしまう。
これを除けば、718ボクスターGTSは目を見張るような出来栄えなだけに、残念でならない。完璧なドライバビリティ、向上した加速性能とあらゆる面で魅力的なパフォーマンス。そのうえステアリングの正確さやハンドリングのシャープさ、驚愕の利きをみせるブレーキなど、すべてが揃っている。……満足いくサウンド以外のものは。